【不在着信】
お兄ちゃん 44件
徹くん 38件
カゲくん 35件
日向 9件
山口くん 10件
澤村先輩 16件
菅原先輩 11件
田中先輩 19件
西谷先輩 18件
え、なんか増えてるんだけど。
200件とか昨日の倍_______、
どうしよう……誰にかければ。
考えていると、1人だけメッセージで送ってきている人がいた。
月島くんだ。
……動画?
タップすると、大音量で再生された。
澤村〈おいお前らいい加減に______、〉
田中〈あなたちゃん戻ってきてくれぇぇぇ!〉
西谷〈音駒になんて行かないでくれぇぇ!!〉
菅原〈あぁもうっ!縁下なんとか……、〉
縁下〈無理っすよ手におえません!〉
山口〈影山意識を取り戻しました!〉
影山〈あなた!!あなたどこ……どこだぁぁ!〉
澤村〈あぁもう……!って、月島なに撮って___、〉
ガタタッ
動画はそこで終わっていた。
……私、必要とされてるんだ……。
カゲくんはまだしも、西谷先輩や田中先輩まで、私の帰りを待ってくれてる……。
?「愛されてんな」
あなた「!!?」
耳元で呟かれた声に、思わず距離をとるとその相手は夜久さんだった。
夜久「ごめんごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど……、」
と、話が始まろうとした瞬間また着信が入った。
……菅原先輩。
夜久「あ、いいよいいよ。出て」
あなた「すみませんっ。…………もし、もし。」
菅原〈あなた!!お前無事か!!!?〉
ガタンッ
開口1番あまりの声の大きさに携帯を落としてしまった。
夜久「大丈夫かよ……ほら、携帯。」
あなた「す、すみません……、」
拾ってもらい、また耳に近づけると今度は田中先輩の声。
田中〈今!今男の声がしたぞ!!?大丈夫なのかおいあなたちゃんんん!〉
澤村〈おい代われ!……あなた、お前なにも言わずに……。〉
あなた「……すみません。」
よかった……。
皆の声を聞いたらなんだか安心して、自然と涙が出てきた。
夜久「ちょっ……大丈夫?」
夜久さんが焦った様子で、頬に垂れた涙の粒を掬った。
あなた「ぅぐ……ずみばぜん……、」
影山〈おいあなた!?どこだその合宿所!迎えに行ってやるから……!〉
あなた「あ、大丈夫!いい人ばっかりだよっ。そう!明日の朝ごはんの買い出しいかなきゃだから、切るねっ。また連絡するから!」
影山〈ちょ……待て!お前10時以降は______、〉
ブチッ
……あれ、最後なにか言ってたけど……充電切れちゃった。
夜久「……ごめんな。」
あなた「へ?」
充電器を繋いでいると、夜久さんが急に頭を下げてきた。
夜久「あなたちゃんだって自分のチームにいたいだろうに、あんな言い方する黒尾もいて嫌、だろ……?なのに……めっちゃ良い仕事してくれて……。」
あなた「っ、いえ、その言葉が嬉しいです。大丈夫ですよっ。黒尾さんにも絶対認めさせてやります!」
拳を作って見せると、 笑ってくれて、買い出しについて行くと言ってくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!