第66話

‥電話‥
55,450
2023/03/21 10:33
【不在着信】
お兄ちゃん 44件
徹くん 38件
カゲくん 35件
日向 9件
山口くん 10件
澤村先輩 16件
菅原先輩 11件
田中先輩 19件
西谷先輩 18件








え、なんか増えてるんだけど。








200件とか昨日の倍_______、








どうしよう……誰にかければ。








考えていると、1人だけメッセージで送ってきている人がいた。







月島くんだ。
月島 蛍
月島 蛍
ちょっと、収拾つかないんだけど
どうしてくれるの





……動画?











タップすると、大音量で再生された。








澤村〈おいお前らいい加減に______、〉


田中〈あなたちゃん戻ってきてくれぇぇぇ!〉


西谷〈音駒になんて行かないでくれぇぇ!!〉


菅原〈あぁもうっ!縁下なんとか……、〉


縁下〈無理っすよ手におえません!〉


山口〈影山意識を取り戻しました!〉


影山〈あなた!!あなたどこ……どこだぁぁ!〉


澤村〈あぁもう……!って、月島なに撮って___、〉






ガタタッ











動画はそこで終わっていた。









……私、必要とされてるんだ……。






カゲくんはまだしも、西谷先輩や田中先輩まで、私の帰りを待ってくれてる……。



   




?「愛されてんな」


あなた「!!?」









耳元で呟かれた声に、思わず距離をとるとその相手は夜久さんだった。



   





夜久「ごめんごめん。驚かせるつもりはなかったんだけど……、」










と、話が始まろうとした瞬間また着信が入った。






……菅原先輩。











夜久「あ、いいよいいよ。出て」


あなた「すみませんっ。…………もし、もし。」


菅原〈あなた!!お前無事か!!!?〉








ガタンッ





開口1番あまりの声の大きさに携帯を落としてしまった。









 

夜久「大丈夫かよ……ほら、携帯。」


あなた「す、すみません……、」








拾ってもらい、また耳に近づけると今度は田中先輩の声。









田中〈今!今男の声がしたぞ!!?大丈夫なのかおいあなたちゃんんん!〉


澤村〈おい代われ!……あなた、お前なにも言わずに……。〉


あなた「……すみません。」










よかった……。





皆の声を聞いたらなんだか安心して、自然と涙が出てきた。










夜久「ちょっ……大丈夫?」









夜久さんが焦った様子で、頬に垂れた涙の粒を掬った。










あなた「ぅぐ……ずみばぜん……、」


影山〈おいあなた!?どこだその合宿所!迎えに行ってやるから……!〉


あなた「あ、大丈夫!いい人ばっかりだよっ。そう!明日の朝ごはんの買い出しいかなきゃだから、切るねっ。また連絡するから!」


影山〈ちょ……待て!お前10時以降は______、〉









ブチッ





……あれ、最後なにか言ってたけど……充電切れちゃった。











夜久「……ごめんな。」


あなた「へ?」










充電器を繋いでいると、夜久さんが急に頭を下げてきた。









夜久「あなたちゃんだって自分のチームにいたいだろうに、あんな言い方する黒尾もいて嫌、だろ……?なのに……めっちゃ良い仕事してくれて……。」


あなた「っ、いえ、その言葉が嬉しいです。大丈夫ですよっ。黒尾さんにも絶対認めさせてやります!」











拳を作って見せると、 笑ってくれて、買い出しについて行くと言ってくれた。

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