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第1話

‥大嘘つき‥
41,874
2020/04/11 12:01
黒尾「お、あいつら今日は接戦じゃねぇか」



私からタオルを受け取った黒尾さんがそう言うので見てみると、烏野は生川と23対25で負けていた。


この合宿で確実に皆が成長していることが、チームから離れている私にはとても明確に感じることができた。



黒尾「あ、そうだお前昨日夜どこ行ってたんだ?」

あなた「え?」


夜……?


あ、そうだ、そういえば夜は……。


黒尾「部屋行ったけど追い返されてよぉ」

あなた「京治先輩と星を見に_____っ、」


まずい。


思い出しついでに口走ってしまったことを後悔した。


黒尾さんは予想通り眉間にシワを寄せると、視線をそらした私の顔を覗きこんだ。


黒尾「赤葦と……、星を見に……はぁ」


大きくため息をついて、私の頬を引っ張った。


あなた「むっ、痛……ぅ、」


ぐにぐにと弄んでから、相変わらずの不適の笑みを浮かべた。


黒尾「昨日できなかった分も……今日はきっちりお仕置きしてやる」

あなた「ひぃぃぃぃっ」



黒尾さんのお仕置きとか想像しただけで鳥肌が……。


黒尾「夜行くから」

あなた「やっ、今日はほんとに……無理」


そうだ。

私は今日西谷先輩との約束がある。

両手をヒラヒラと振ると、再度顔をしかめた。


黒尾「今日は誰、眼鏡くん?赤葦?研磨?……それとも……「西谷先輩」?」


あなた「っ、……言わないもん」


黒尾「……お前、顔に出すぎ」


目をそらした私の頬をもう一度引っ張って、研磨くんに話しかけに言った。






今日も安定の第3体育館。


一通り練習を終えた皆にドリンクを配る。



あなた「日向、どーぞっ」


日向「あざっす!」


リエーフ「俺にもぉ!」


あなた「はいはいっ。京治先輩、どうぞ~」


赤葦「ありがと」


木兎「あなたっ、俺にも寄越せぇ!」


ガシッ


あなた「うわっ、やめて汗臭いですから!」


木兎「え……」


黒尾「あなたー俺にも」


あなた「うぃ」


黒尾「だからなんで俺にはそんななんだよ!」


だって黒尾さん意地悪だし……当然の報いだよ。


あなた「月島くんも!はいっ」


月島「……ども」


あなた「…………?」


受け取ってくれたので手を離そうとすると、ボトルが簡単に手から落ちそうになったので
渡し持ち直した。


何でちゃんと持ってくれないの……?



月島「……今日さ」

黒尾「あー因みに……」



小さい声で何やら言おうとした時、黒尾さんが汗を拭きながら話始めた。



黒尾「スパイカーと1対1の時は基本的に相手の正面じゃなく、利き腕の正面でブロックするといいぞ」


リエーフ「おぉ~」



なるほど。


考えてみればそりゃそうだよね、右利きの選手には左側に着けば良いわけか……。


バレーに関しては純粋に尊敬できるんだけどなぁ……。


月島「あの……」

黒尾「んー?」

月島「一応……僕ら試合になったら敵同士ですよね……?どうしてアドバイスまでしてくれるんですか?」



……あ、確かに。



黒尾さんは間髪いれずに、片手を胸の前に、もう片方を開いて変な笑顔を作った。






黒尾「僕が親切なのは、いつものことです」





日向「……」(°Д°)

月島「…………」(゜_゜)




あなた「……大嘘つきめ」



黒尾「なにもそんな目で見なくても……それから、大嘘つきとか言ったそこのあなた、後で100本サーブな?」










やっぱり嘘つきじゃん……。

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