第228話

‥お得なセット‥
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2020/04/17 11:13
やばい……。






息が……できない。







澤村「皆乗ったか~?」


「「おーーっす」」




澤村先輩の呼び掛けに、皆が眠たそうな声で返した。


隣に座る西谷先輩も、それは例外ではなく。




西谷「あなた、窓側じゃなくて平気か?」


あなた「っはい!よよよ余裕ですっ」



噛み噛みになりながら首を振ると、ニカッと笑う。



これ……宮城まで続くのかあ。






心臓もつかな??


まもなくバスが出発し、通路を挟んで隣の山口くんはすぐに眠り始めた。



西谷「そういや、あなたは明後日から部活来れねーんだっけ」


あなた「はい、アナリストの講習があって……」


西谷「偉いなぁ」



それから、自分はまだ進路を考えれていないし尊敬するとか、そういえばバカだから就職するしかねぇわ、とか……バレー以外の話で盛り上がれたことが、私にはとても嬉しかった。


バレー部に居るときしか、こうやって話せないから。


勿論昼休みとかに話しかけにいけばよいのだろうけど、他愛もない話のために他学年の棟に行く勇気が出るはずもない。



“選手”と“マネージャー”。



それは私たちの唯一の繋がりだから。


だから、西谷先輩と同い年の人や、同じクラスの人が羨ましくてしょうがない。


こんな風に、学校でも隣に座れたら……。



あなた「……?先輩、眠いですか?」


目を薄く開けてカクンカクンと頭を揺らしているので尋ねると、ハッと目をかっぴらいた。


西谷「すまんっ。大丈夫だ……!」

あなた「疲れてますよね、寝て大丈夫ですよ……?」


眠たいのを我慢して話してもらうのは流石に申し訳ない。


西谷先輩はブルブルと頭を振って、両手で頬を叩いた。


西谷「折角あなたと話せるのに、寝るのはもったいねぇから……」

あなた「……っ!?」



この人は本当に……思わせ振りというかなんと言うか……。



あなた「いつでも、話せるじゃないですか……」



合宿の時だけじゃなくて、部活でももっと話したいし連絡ももっと取り合いたい。


学校で、お昼休みとかに他愛ない話しとかして時間を一緒に過ごしたい。


もっと我が儘になっていいなら、休みの日に一緒にいたい。


別にどこかに出掛ける必要もない。


ただただ、一緒にいたい。




あなた「私は……先輩の隣に座れてるだけで楽しいですよ……」

西谷「っ、あなた、口がうまいなぁ」


フっと、あまり本気にしてなさそうに笑うので続けて返した。



あなた「ほんとに、私……先輩といられるのが嬉しいんですっ。お話はしたいけど、それは今度でもいいから……休んでください」



西谷先輩は少し考えてから頷くと、足元の鞄からスポーツタオルを取り出して頭に被った。



私も寝ようかと体勢を変えるために腰を浮かせた。



ギュッ……




あなた「っ、!…………~っ西谷、先輩……?」



腰も横についた手が西谷先輩のそれに触れて、瞬間握られた。



西谷「……夢で話せるかと思って」


ふいっと窓の外に顔を向けて、握った手に力を込めた。


あなた「…………」




こんなの……反則でしょ。



心臓がばくばくして、とても寝られたものではないのでそろりと手を離そうとすると、再度ギュッと握られた。



西谷「……離さねぇから」






離してくれないと心臓がもたないんですっ!




何て言葉も出るはずがなく。



自爆覚悟でその手を握り返すと、躊躇しながらも手をゆっくりとスライドさせて指を絡めた。



触れる部分が大きくなって、私の心臓の音もそれに比例した。









……寝られる、かな。










澤村「もうすぐ着くから周りのやつ起こせよ~」


菅原「ふあぁぁ……月島、山口~。起きろ~」


山口「……ぅ……ん。眠……」


菅原「山口、そっちのやつ起こしてくれ」


山口「はい……って、わっ、」


澤村「どうかしたか……?っ!?」


菅原「こ、こんなに仲良かったっけ?」


澤村「(西谷だからと油断していた……)」


山口「(やばい、頭乗せ合ってるよぅ……ツッキー起こすの後にしとこう……)」


菅原「(って、手、繋いでんのか!?……西谷めぇ……)」





「「「(でもなんか、この2人癒される……)」」」













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合宿編終了です☆




これからも大きなイベント企画しているので(新キャラも続々!!)応援よろしくお願いします!



少し更新速度が落ちてしまいますが、勉強面での都合によりご理解くださいm(__)m


1日1話は更新できるよう頑張りますっ!!

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