第217話

‥1人より2人‥
39,827
2020/04/12 00:01
ペシッ


シュルルッ……



あなた「ぅぅ……」



黒尾「はぁ~い47本目失敗ぃ~」



あなた「この鬼が…………」




まさか本当にサーブ打たされるとは思わなかった。



生川は毎日打ってるらしいけど……こんなの死んじゃうよ……。



壁に寄っ掛かってニヤニヤしている黒尾さんをキッと睨んでから、ボールを手に取った。



もう腕がしんどい……。




日向「あなた!あなたっ!!」


あなた「??」


日向が子犬みたいな笑顔で駆け寄ってきた。


日向「なぁ!俺も打つ!!」



……え?



日向「俺サーブがまだいまいちだからさぁ!それに、1人より2人でやれば早く終わるぞ!」



あなた「な…………」



日向「??」



日向って、ほんとに……。



あなた「っ、日向大好きぃっ!!!」



ギュッッ



日向「ほっ、ほわっ!!?//」



ボールを放り投げて飛び付くと、日向は戸惑ってカチンコチンになってしまった。



リエーフ「う……羨ましい……あなた!俺も!俺も打ってやるぞ!」



座り込んでへばっていたリエーフくんまで駆け寄ってきてくれて、もう涙が……。



あなた「ありがとうリエーフくん!!はいっ、ボール!」


リエーフ「あ、あれ……ギューは?」


あなた「??牛……?」


リエーフ「牛じゃなくて!俺も日向みたいにギューしてくれよ!」



日向みたいにって……。


え。


ハグってこと??



あなた「ま、まぁそれくらいなら……」


日向「っダメ!!」



リエーフくんに近寄ろうとすると、間に両手をバッと広げた日向が入ってきた。



リエーフ「おい日向!」


日向「乱用禁止だ!ダメ絶対!!サーブ打つぞ!」




乱用禁止って……薬物みたいに言わないでよね……。



とりあえず3人でサーブを打って、私がゆっくり8本ほど打つ頃にはもう2人は何十本もを打ってくれていた。



黒尾さんはちょっと不機嫌そうだったけど、とにもかくにもサーブ地獄は幕を閉じた。




日向「今日の晩飯なにかなぁ!」

リエーフ「おかわり何杯できるか勝負しようぜ!」

日向「望むところだっ!」



……またバカやってる…………。



月島「ねぇ」


あなた「んぁ?」


月島くんは落ち着いた目で、しっかりと私を見据えた。


月島「……西谷さんと会うんでしょ?」


あなた「っ、…………うん」



バレていたことには驚いたけど、ここで下手に取り繕ってもしょうがない。


言葉につまりながらも正直に答えると、立ち止まった。



あなた「……月島くん?」


月島「明日」


あなた「?」









月島「明日は、僕と会ってよ」

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