白布「だから、ここは全然違う公式が成り立つんだよ!」
あなた「え、式同じじゃないですか!」
白布「全然違う!授業で習ったはずだぞ!?」
あなた「……聞いてないんだもん」
皆で勉強を再開することによって先程の事件は落ち着き、私は白布さんのスパルタ教育を受けている。
白布「だぁっ!もうイライラする!」
五色「じゃ、じゃあ俺がっ」
白布「いいやコイツには俺が教える!」
さっきまで仏頂面で眺めていた工くんがニコニコしてそう言うと、白布さんは間髪を入れずに否定した。
私的には、優しい工くんに教えてもらいたいんだけどな……。
天童「まぁまぁ工~っ。しょうがないヨッ」
瀬見「ま、白布は俺たちの数倍頭がいいしな」
五色「……」
数倍頭がいい……?
あなた「そうなんですか?」
白布「余計なことは知らなくていい。お前は自分の心配してろ」
でも、白鳥沢に居るだけで相当頭がいいはずなのにそれの数倍って……。
大平「俺たちは推薦組なんだよ」
あなた「推薦……白布さんは違うんですか?」
白鳥沢のバレー部は、前々から監督さんが有望な選手達を声をかけて集めていると聞く。
白布さんはインターハイの決勝でスタメンだったし、勿論そうなんだと思っていた。
白布「来なかったんだよ」
私が手を止めると、小さくため息をついて一旦座り、ジュースをコクコクと飲んだ。
あなた「じゃ、じゃあ普通に受けて通ったってことですか?」
瀬見「そうなるな。相当勉強したんだろ?」
瀬見さんが横目で聞くと、白布さんは唇を尖らせた。
白布「まぁ……」
あなた「____すごい」
白布「あ?」
確かに教え方上手いし、納得した。
あなた「白布さんは……バレーが好きだから頑張れたんですねっ」
なんだか嬉しくなってそう言うと、面食らったように目を見開いていた。
そして1拍置いてから、何かがお気に召さなかったのか勢いよく立ち上がった。
白布「お前に言われたくねぇからっ」
そう言って、私を指差す。
……なぜに?
あなた「や、私もそりゃバレー好きですけど、それを比べてとかじゃなくて__」
白布「はぁっ!?違う違う違うっ!お前だって普通に受けてウチ受かっただろうが!」
天童「あ、言ってたネそういえば」
あなた「……なんで、知ってるんですか?」
若くんが勝手に言うとも思えない。
なんで白布さんがそんなこと知ってるの……?
私が尋ねると、なぜか、とても、白布さんは悲しそうな顔をして座り直した。
グラスを手に取り、飲むか飲まないかの所まで近づけてまた離し、私の手元のノートを指差す。
白布「お前が1位獲れたら教えてやらなくもない」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。