第40話

‥賭け‥
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2022/02/16 17:21
椋樺「ぁ、いたいたっ、岩泉さぁ~ん」




……来た。




さくら「っあなた……」




怖がりながらも、私を庇うように前に立ってくれたさくらに、涙が出そうになった。


必死に押さえて、その前に出る。




綾乃「あなた、行っちゃダメ」



あなた「ううん。私もう自然に終わるのは待たない。話つけてくるから」






もう、笑顔を貼り付けることはできそうにない。



リオ「うける~泣いちゃってさ、たかが上履き隠されたくらいでっ」


サオリ「いいリアクション頂きましたぁ~」


リオ「次はなにしよっかぁ」


あなた「用件は?」





楽しそうに話すのを遮って、声のトーンを落とした。





椋樺「……分かったでしょ?あんたが素直に言うこと聞かないから大事な"オトモダチ"があんな目にあったの」




……それは、事実だ。



さくらの泣いている顔、震える肩、私に隠そうと必死に擦って赤くなった目を思い浮かべて、沸々と怒りが込み上げてきた。







椋樺「それでね、あんたが私の出す賭けに乗ったら、もう誰にも手は出さないから」


あなた「……賭け?」





復唱すると、リオが笑顔でパンっと手を叩いた。






リオ「球技大会でケリをつけよう!ってワケ!!」


あなた「球技大会……」


サオリ「うちら3人ともバレー選択して同じチームなんだけど、決勝まで上がったらあんたのチームと当たるの」


椋樺「第1条件はまずそこまで上がってくること、そしてあんたが勝ったら、もう何も言わない。その代わり負けたら、バレー部を辞めて、部の人達との関わりも全部切って」


あなた「いいよ」


リオ「だから聞き分けないなぁ!!っ、て_____」





昨日の私のように適当に受け流すと思ったのだろう、用意していたようにキレるリオが、目をかっぴらいた。





椋樺「なに、やっぱり友達は大事っての」


あなた「私が賭けに乗った時点で、私の周りの人に手を出さないっていうのは成立だよね」


サオリ「うん。そうなるね。あんたが逃げなかったら、ね」


あなた「うん、逃げないよ」







今日初めて、この3人に向けた笑顔には確実に怒りが込められていて、少しビクついたのを見てほんの数ミリだけスカッとした。







角を曲がったところに人影が1つ。







あなた「……山口くん。立ち聞きは良くない」


山口「わわっ!……ご、ごめ、ん」


あなた「……まぁ、心配してくれたんだよね。ありがとう」


山口「ね、ねぇ。大丈夫、なの?あんなすんなりOKしたけど、勝ち残れる、かな……そりゃ俺とツッキーはチームにいるけど、男子はスパイク禁止だし……」


あなた「……さぁ、どうだろう。あの子達中学バレー部で頭張ってたらしいし」


山口「えぇ!!?そ、そんなの……負けちゃうよ」


あなた「かもね」


山口「え!?でも負けたら、バレー部辞めなきゃいけないんだよ!?それに関係も切るって……」








あなた「……ごめん。多分、辞めることになると思う」

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