第63話

‥ご飯‥
55,247
2022/07/12 07:22
ギュッ






夜久「こんなに頑張ってくれてるのに謙遜して……なんていい子!」








嬉しいけど……そんな目を潤ませるほど……?




思わずその顔に笑ってしまって、「なに笑ってんだよー」と小突かれた。






黒尾さんは、またなにか言おうとしたけど諦めたのか去っていった。





まだ、認めてくれてはないもんね……。






がんばるぞ……!



よく知らない高校との練習試合が始まり、形上はあるけど使ってなかったというノートに細かく書いていく。





1セット目は難なくとって、休憩。





タオルとドリンクを配っていると、研磨くんが何やら考え込んでいた。





研磨くんは頭が切れる。










あなた「ね、ねぇ研磨くん……、」









また逃げられてしまうかもしれないと思ったけど、研磨くんは私の顔を見てから、目をそらしながらも話を聞いてくれた。









あなた「これ、1セット目のメモなんだけど……向こうのセッターの傾向が______、」









そして第2セット。

研磨くんは私の言ったことを頭に置いてプレーしてくれているようだった。

現に何点かはそれで点を稼いでいる。


試合を見ているだけでも、分析してプレーに繋げることができる。

球技大会で学んだことだった。




1日はあっという間に終わって、皆が部屋で休憩している間食堂で晩御飯を作った。






1人で何人ものご飯を作るのは大変だったけど、認めさせてやるっていう気持ちが強く働いて頑張れた。






時間内に作り上げることができて、皆が食堂に入ってきた。









夜久「なんっっだめっちゃいい匂いするんだけど!」


犬岡「お腹減りましたねぇ~。」


夜久「あなたちゃんメニューはなに~?」










適当に座りながらキラキラした目で聞かれるので、こっちもテンションが上がる。





長机に並べた鍋5つとお釜1つを見て期待が高まっている。





端の鍋から順に説明していく。









あなた「ええっと……メニューは、回鍋肉チーズタッカルビ丼と……チーズが苦手な方用に普通の回鍋肉。スープはカレー風味のひき肉と茄子の味噌汁か、キャベツと卵のスープか、はるさめスープの中から選べます!」










一気に説明すると、1拍置いておぉっと歓声が起こった。






山本「それぜってぇ美味いやつだっ!」


夜久「それなっ!!楽しみ!」












よかった……家でも好評だったメニューだから、自信はあったけどやっぱりホッとした。










あなた「あ、あと……申し訳ないんですけど、皆さんの食べる量を把握できていないので、並んでついでいってほしいです……、」








そう言うと、快く返事をしてくれて晩御飯タイムが始まった。









研磨「……あなた、」









お盆に乗せたお皿には他の人よりは量が少なく盛られていた。





自分でついでもらってよかった……。









あなた「どうしたの?」

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