月島「お役御免ぽいんで失礼しまぁす」
黒尾「ぉわ、ちょ…………」
木兎さんのスパイクをブロックしていた月島くんに「なよなよしい」と言った木兎さん。
日向に抜かされちゃうよ、と挑発をした黒尾さんに、月島くんは「それは仕方ないんじゃないですかね」と言って帰っていってしまった。
あなた「月島くん……」
木兎「おっこらっしたぁ~。大失敗じゃん。挑発上手の黒尾くん?」
月島くんが、何か日向に引け目を感じているところがあるとは前々から思っていた。
でも最近、特にみんなが自主練に励むようになってからは少し、イライラしているような……。
どうしたんだろう。
月島𝓈𝒾𝒹𝑒.°
そんなに頑張るから、後で苦しくなるんだろ……。
?「月島くんっ!!!」
月島「っ」
突如前に現れたあなたに驚いて、少し後ずさった。
何だよこいつ、さっきまで第3体育館にいたんじゃ……。
あなた「あのね、間違ってたらごめん!……月島くんさ、逃げてない!?」
月島「…………は?」
僕の低い声に肩を震わせたけど、恐怖心を紛らわすためかブルブルと頭を横に振って、もう1度口を開けた。
あなた「自主練を頑なにしなかったのも、我武者羅に頑張る皆をどこか冷めた目で見てたのも、さっきのことも……月島くんは、負けて悔しくなることから逃げてるんじゃないの?」
月島「…………キミに言われる筋合いないんだけど」
止めろ。
あなた「っ、確かにそうかもしれない。私にそんなこと言う資格無いかもしれないけど、でも私……あの時、最初の3対3の時、月島くんにも「負けたくない」って意志があるんだって確信したよ……!」
月島「……キミの勘違いじゃない?そこ退いて」
これ以上……。
あなた「退かないもん!前日向が言ってた。負けたくないことに理由なんて要らないって……!青城に負けた時、次は絶対勝って全国に行こうって誓った!頑張る理由なんて……」
僕に踏みいるな……。
グイッ
必死に開けている口を塞ぐように下から顔を片手で覆った。
月島「それはキミの願望だろうが」
あなた「……願望?」
月島「それを僕に押し付けないでよ。迷惑」
あなた「ちがっ…………私は、そうじゃなくて」
何事にも我武者羅に、全力でやれなんて。
それはただ、お前の好きな奴の姿を押し付けてるだけだろうが。
月島「僕は、キミの望んでるような奴には_____西谷さんみたいには、なれないんだよ」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!