侑𝓈𝒾𝒹𝑒.°
こんなはずやなかったのに……。
あなた「むりむりむりむりむりむりっ!高いって!!」
角名「大丈夫だよ落ちないから……ほら」
治「角名ぁ、あなたに触ったらあかん」
何で皆おんねん。
北「侑、見るからに不機嫌そうやなぁ」
侑「別に……」
折角2人っきりやと思たのに……。
サムだけやのぉて角名と北さんまで。
侑「ゆうか北さん、俺らが前誘った時来ぉへんかったやないですか。なんで今日は……」
俺とサムが遊びん誘った時は来んくせぇに……。
いや、北さん誰の誘いでも行かへんよな……?
北「…………てんとう虫ちゃんがおるからなぁ」
侑「________え」
……北さん???
てんとう虫ちゃんって……あなたんことやろ?
あなたがおるけぇ来たゆうことか??
侑「それって______」
あなた「侑っ、侑助けてぇぇ!」
ドサッ
侑「なっ、なんや!?」
さっきまで向こうの方でじゃれあっとったのに。
涙目で俺を見ると、プルプル震え始めた。
侑「……サム、なんやったんな自分……」
治「やぁ……そない驚くとは思わんでなぁ。あなた、冗談や冗談っ」
あなた「ぅぅ……あほぉ……」
せやけど……震えて俺にすがりつくとこほんま可愛えなぁ……。
角名「~っ、~っっ、」
角名めちゃめちゃ笑てもうとるやん……。
侑「どないな嘘つかれたん?」
あなた「「北さんも侑も、なんであっちに座ってるんだろうね」って聞いたの……そしたら治がぁぁ」
治「「もう少ししたら足元が全開なって皆落ちるからやろ」って言うたら信じたんや」
純粋か。
侑「落ちへん落ちへんから……」
あなた「うぅ……別に信じてないもん……」
強がりやなぁ。
2人きりやのぉても……可愛えからええか。
あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°
神戸ポートタワー周辺で食べ歩いてから、午後には水族館に行った。
あなた「飛び魚……」
カシャカシャッ
北「飛び魚好きなん?」
あなた「いや……ちょっと友達に送ろうと思って」
答えながらスマホを操作し、カゲくんに送信した。
既読は速攻でつき、と同時に着信画面に切り替わる。
あなた「ほわっ!?」
驚いて落としかけた携帯を、北さんがキャッチしてくれた。
あなた「すみません……もしもし?」
影山<西谷さんには連絡してなんで俺にはしないんだ!>
あなた「っうるさ……カゲくんが心配性過ぎるのがいけないの!少しは私離れしなさい!」
影山<なっ…………>
あなた「じゃーね。練習頑張りな」
ブチッ
カゲくんの弱々しい声に少し優しい言葉をかけようかとも思ったけど、それは帰ってからでいいか。
北「部活の人?」
あなた「あ……はい」
北「そういえばてんとう虫ちゃんって、どこの子なん?」
あなた「あっ宮城の……烏野高校です」
侑と治がドクターフィッシュに夢中になっているのを見て、苦笑しながら答えた。
北「宮城……牛若んとこやな」
あなた「おぉ……若くん有名なんですねっ」
北「知り合いなん?」
あなた「うぅん……友達、です」
適当な表現の仕方が見当たらず、結局友達に落ち着いた。
北「そりゃ有名もなにも……3本指やしなぁ」
あなた「それ言ったら、尾白先輩だって5本指じゃないですか……ってか、調子良かったら張り合うし」
言うと、少し驚いたような顔をしてふっと笑った。
北「ほんま……よぉ見とるな。まぁ、エースの実力だけがすべてやないしな」
エースといえば……旭先輩はジャンプサーブ上手くいってるかな。
あなた「そうですねっ。稲荷崎とうちが試合することあったら、よろしくお願いします」
北「っ、ふ……白鳥沢に勝つ気満々やな」
あなた「当たり前ですよ!絶対全国行きますからっ」
北「まぁ俺が試合ん出るかは分からんけぇど」
そっか……北さんスタメンじゃないから……。
でも、北さんのその言葉からは卑屈や劣等感は感じられなかった。
あなた「引きずり出して見せますよ」
北「お手柔らかに……せやけど、俺の仲間は強いで?」
あなた「北さんが率いてるんだから手強そうですね……」
侑「はわぁ~っ、気持ちえかったわぁ」
侑と治、そして撮影していた倫くんが戻ってきた。
北「手強いんはこいつらや」
あなた「_______北さんの頑張り、きっと誰かが見てますよ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。