ギュウゥ……
初めて、自分の性格に嫌気がさした。
あなたが僕のせいでいじめられてると知った時、何もしてやれなかった。
______もし僕が、もう少し素直なら。
きっと話を聞いてしまったことも、全部言って謝って、一緒に立ち向かってやることもできたはずだ。
……似合わないか。
きっと、そうだ、西谷さんなら___。
そうできたはずなんだ。
それでも、好きで僕と一緒にいるのだと言ってくれたあなたの言葉を、信じたくなった。
抱き締めた僕を振りほどこうとはせず、身を預けてきた。
少しして、いつ終わればいいのかタイミングを見失っているとスースー寝息を立てていることに気がついて、思わず笑った。
ほんと、ムカつく……。
これくらいは、許されるよね__。
肩に埋められた顔にかかる髪を掬って耳にかける。
こめかみの部分に顔を近づけた。
_____チュ、
あなたは、起きようとはしなかった。
やっぱり寝息をたてて眠っているあなたを、またそっと抱き締めた。
?「______いた」
背後からの声に驚いて勢いよく振り替えると、王様が立っていた。
少し慌てた表情。
こちらに歩いてくると、あなたの腕をグイッと掴む。
その雑な動作にあなたは目をうっすらと開けた。
あなた「ぁ……かげくぅん、」
はにかんで影山の方へ両腕を伸ばす。
あなたのこの状態に驚きもせず、影山はその両手に自分のそれを重ねた。
影山「夜1人になるなってあれだけ言っただろうが。」
あなた「……へへへぇ~……かげくんだっこぉ~。」
甘えきった声のあなたにため息を着くと、軽々と僕の膝の上からあなたを抱き上げた。
影山「……コイツなにもしなかったか?」
僕の方を見てそう言うので、「ずっと寝てたけど」と嘘を吐いた。
来た方向へあなたを抱えて進んでいく。
月島「ねぇ。ソイツ酔っぱらってんの?」
影山「なんかされたんなら忘れろ……深夜テンションってやつだ。」
いや、程度があるだろ。
あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°
気がつくと朝だった。
うん、やっぱり10時くらいから後の記憶がない。
まぁ、いっか。
とりあえずご飯作りに行かないと……。
ジャージに着替えてから食堂へ行くと、もう先生がいた。
武田「おはよう岩泉さん。昨日はよく眠れましたか?」
眠ったもなにも眠ったことを覚えてないのだけど、頭はスッキリしているので「はい」と返した。
一緒にご飯を作ってから、盛り付けして並べていると起きた皆とコーチが入ってきた。
武田「おはようございます皆さん。」
あなた「おはようございますっ。」
澤村「お、お、おぅ。オハヨウゴザイマス。」
菅原「オ、オハヨ!」
……?
変な反応……。
なんだかカゲくん以外よそよそしいんだが。
あなた「日向~コップとって。」
日向「っ!!は、はい!どぞぞ。」
日向まで……。
あなた「ね、ねぇカゲくん、私何かしたのかな……。」
影山「……知らない方がいい。」
え、余計気になるんだけど。
・
・
夜。
影山はあなたを抱っこしたまま部屋に戻る。
まだトランプをしていた皆の視線は勿論集まり。
リアクションの大きさに目を覚ますあなた。
田中「お、おい影山ぁ貴様ぁ!!」
あなた「たなかせ、んぱいだぁ~。やっふぅ~っ。」
烏野「!!!?」
田中「!!?や、やっふ?」
あなた「ふふふ~。」
影山「おい、ちょっと黙ってろ。」
日向「か、影山、あなたどうしたんだ?」
あなた「ひぃ~なぁーたぁ~!」
日向「えええええ!?ちょ、あなた!?」
西谷「おい翔陽羨ましいぞ!なに抱きつかれてんだ!」
澤村「こら西谷!!」
あなた「にしのやせんぱい~っ」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!