第56話

‥月島くんのキモチ‥
55,172
2022/07/12 06:57
ギュウゥ……





初めて、自分の性格に嫌気がさした。







あなたが僕のせいでいじめられてると知った時、何もしてやれなかった。









______もし僕が、もう少し素直なら。








きっと話を聞いてしまったことも、全部言って謝って、一緒に立ち向かってやることもできたはずだ。








……似合わないか。






きっと、そうだ、西谷さんなら___。








そうできたはずなんだ。









それでも、好きで僕と一緒にいるのだと言ってくれたあなたの言葉を、信じたくなった。







抱き締めた僕を振りほどこうとはせず、身を預けてきた。







少しして、いつ終わればいいのかタイミングを見失っているとスースー寝息を立てていることに気がついて、思わず笑った。








ほんと、ムカつく……。






これくらいは、許されるよね__。






肩に埋められた顔にかかる髪を掬って耳にかける。








こめかみの部分に顔を近づけた。












_____チュ、










あなたは、起きようとはしなかった。






やっぱり寝息をたてて眠っているあなたを、またそっと抱き締めた。



















?「______いた」







背後からの声に驚いて勢いよく振り替えると、王様が立っていた。




少し慌てた表情。






こちらに歩いてくると、あなたの腕をグイッと掴む。





その雑な動作にあなたは目をうっすらと開けた。








あなた「ぁ……かげくぅん、」









はにかんで影山の方へ両腕を伸ばす。





あなたのこの状態に驚きもせず、影山はその両手に自分のそれを重ねた。








影山「夜1人になるなってあれだけ言っただろうが。」


あなた「……へへへぇ~……かげくんだっこぉ~。」








甘えきった声のあなたにため息を着くと、軽々と僕の膝の上からあなたを抱き上げた。








影山「……コイツなにもしなかったか?」








僕の方を見てそう言うので、「ずっと寝てたけど」と嘘を吐いた。






来た方向へあなたを抱えて進んでいく。








月島「ねぇ。ソイツ酔っぱらってんの?」


影山「なんかされたんなら忘れろ……深夜テンションってやつだ。」















いや、程度があるだろ。

あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°








気がつくと朝だった。







うん、やっぱり10時くらいから後の記憶がない。




まぁ、いっか。





とりあえずご飯作りに行かないと……。




ジャージに着替えてから食堂へ行くと、もう先生がいた。








武田「おはよう岩泉さん。昨日はよく眠れましたか?」






眠ったもなにも眠ったことを覚えてないのだけど、頭はスッキリしているので「はい」と返した。




一緒にご飯を作ってから、盛り付けして並べていると起きた皆とコーチが入ってきた。








武田「おはようございます皆さん。」


あなた「おはようございますっ。」


澤村「お、お、おぅ。オハヨウゴザイマス。」


菅原「オ、オハヨ!」









……?




変な反応……。







なんだかカゲくん以外よそよそしいんだが。








あなた「日向~コップとって。」


日向「っ!!は、はい!どぞぞ。」









日向まで……。









あなた「ね、ねぇカゲくん、私何かしたのかな……。」


影山「……知らない方がいい。」












え、余計気になるんだけど。
























夜。
影山はあなたを抱っこしたまま部屋に戻る。
まだトランプをしていた皆の視線は勿論集まり。
リアクションの大きさに目を覚ますあなた。






田中「お、おい影山ぁ貴様ぁ!!」


あなた「たなかせ、んぱいだぁ~。やっふぅ~っ。」


烏野「!!!?」


田中「!!?や、やっふ?」


あなた「ふふふ~。」


影山「おい、ちょっと黙ってろ。」


日向「か、影山、あなたどうしたんだ?」


あなた「ひぃ~なぁーたぁ~!」


日向「えええええ!?ちょ、あなた!?」


西谷「おい翔陽羨ましいぞ!なに抱きつかれてんだ!」


澤村「こら西谷!!」


あなた「にしのやせんぱい~っ」

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