第140話

‥月島くんとの取り引き‥
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2020/07/26 10:07
あなた「ただいまっ!お兄ちゃん!徹くん!!居る!?」


岩泉「おぉ~おかえり」

及川「あなたおかえりぃ~っ」

あなた「早速だけどメッセージ見た!!?」


鞄を置いてソファーに並んで座ってゲームをしている2人に駆け寄ると、画面をフリーズにしてこちらを向いた。


岩泉「あなた、勉強だけどな……」

及川「ごめんっ。俺ら1年の範囲忘れてるわ☆」

あなた「……………………っ、」


唯一の希望が……。


及川「ちょっ……あなた泣きそうにならないで~ごめんごめんっ!ほらこっちおいで~」


手を引っ張られて、足の間に座らされる。

後ろから頭を撫でながら、徹くんは言った。


及川「2年前の範囲だしねぇ~」

岩泉「簡単なことなら教えられるが、1位採れるほどには無理だな」

あなた「ぅぅ……ごめん無理言って。お兄ちゃんの頭じゃ無理だよね……」

岩泉「あぁっ!!?」

あなた「ひぃぃぃっ」

及川「まあまあ岩ちゃん、あなたは正直だから~」

岩泉「あのなぁあなたっ、難関校に受かったやつに教えられるほどは頭よくねぇけど___」


難関校……。


あなた「!そっか!!それだ!!!部屋行ってくる!!」



飛び上がって鞄を掴み、階段を駆け上がった。

あなた

急にごめん!!
ピンチなの!勉強教えて!!



メッセージには数分後に既読がついて、了解を貰ったので1人跳ね上がって喜んだ。


しながらこの時間も勉強に費やそうと、とりあえず教科書の1ページから読み漁ることにした。





綾乃「あなたおっはよ……う?」


あなた「今日の日本の経済では(ブツブツブツブツ)……


サオリ「教科書読んでどうしたの~っがり勉ちゃんになっちゃったぁ?」


あなた「……あ、おはよ!ごめん今日から集中タイムっ需要と供給の曲線が交わった点を損益分岐点というがその損(ブツブツブツブツ)……


真綾「あなたどうしちゃったの……?」


山口「あはは……実は今度の期末テストで1位獲らないと遠征に連れてってもらえないみたいで……」


椋樺「あはっ。ウケる、がり勉じゃんっ」


さくら「椋樺ほらっ。邪魔しちゃだめだよ~」




とりあえず授業聞いてなかった分取り返さないと……!


席に座ってブツブツ言っていると、教科書に背後に立つ人の影が映った。



?「ねぇ」

あなた「(ブツブツブツ)……」

?「はぁ……ちょっと顔上げろ」


グイッ


片手で目を覆われて、そのまま天井を向かされた。


あなた「なっ……にすんの!」


両手で振り払うと、ズイッと視界に現れる月島くん。


両手で頬をムニムニ引っ張られる。



あなた「ひゃへほ~!(やめろ~!)」


月島「教科書全文読んだってしょうがないでしょ。冷静になって考えなよもう……」


あなた「……ひゃひひゃに……(確かに……)」


力を抜くと、頬をいじるのを止めてひんやりとした手で両頬を優しく包んだ。


月島「部活前後は王様達に教えることになったけど、教室では教えてあげられるから」

あなた「……え?月島くんが?私に?教えてくれるの……?」


間抜けな顔で聞いた私に、月島くんは顔をしかめる。


月島「あぁっ、そう。嫌ならいいけどね僕はどうでもいいし」

あなた「やっ、教えてください神様ぁぁ!」

月島「……その代わり、1位獲れたら僕の言うこと何でも1つ聞いて」

あなた「なんっなりと!!」






この時、安易に答えるべきではなかったのかもしれないと、にたぁっと笑う月島くんを見て後悔した。

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