第324話

‥従姉妹‥
37,942
2020/05/13 06:27
綾乃「ほぉ……つまり、セミナーで岡山から帰ってきたついでに部活の知り合いと遭遇して……」


椋樺「悪ふざけ(?)で取材に応じた、と」


あなた「うん……。ほんとついてない……」


さくら「(いや逆についてるでしょ)」



雑誌の記事についての説明を一通り終えてから、やっと理解してもらった。




真綾「あなたにその気はないの?」


あなた「えぇ?ないよそんなの!あったとしても皆悪ふざけだし……」



首を傾げるとなぜか苦笑されて、なにやら考え込んでいたさくらがポンっと手を叩いた。



さくら「あなた!シルバーウィーク空いてる!?」


あなた「へ……?部活は、休みだけど……」



隣で綾乃が、「あー、あれね」と頷いた。


なに……?



さくら「私の従姉妹が、丁度文化祭するの!従姉妹の家に泊まるんだけど良かったら一緒にいかない?」


真綾「うちら皆家族旅行とか部活の合宿とかでさ~」



文化祭か……。


うーん……でも、たまには家でゆっくりしたいしなぁ。



さくら「新しい出会い見つけるチャンスだよ!」



ギュッと手を握られて、あははとはぐらかした。


真綾たちにも押されて、結局行くことに。




さくらは前日の夕方に家を出るらしく、部活が遅くまである私は次の日の朝に出ることにした。


新幹線の券はついでに買ってくれるということで、とんとん拍子で話が進んでいく。


そして、シルバーウィーク目前。



真綾「あなた!いい男捕まえてきなよ!?」


あなた「ちょ、言い方……」


綾乃「そういえば、どこ行くんだっけ?」


あなた「……聞いてない」



そういえばまだ行き先を聞いてなかった。

向こうで落ち合うためにも、ちゃんと確認しないと……。



さくらを探して、新幹線の券を受け取ってから尋ねる。


すると____。



さくら「ありゃー、言ってなかったっけ。兵庫県なんだけど___」






…………んん?



綾乃「兵庫かぁ~。……あ、そういえばあなたのLINEのトプ画、神戸タワーじゃなかったっけ」


あなた「え……うん。えと、どこの高校、なの?」




まさか……ね?



そんな偶然、あるわけ____。




さくら「なんだっけな、狐……?えっと、美味しいやつ」



……美味しいやつ?




さくらはひとしきり頭を揺らして、ぶつぶつ言いながら考え込む。




あなた「…………稲荷崎じゃ、ないよね?」



待っていられずに先に聞いてしまった私に、さくらは心底驚いた顔で私を見た。



その反応に、あぁ……と確信した。



さくら「そう、そこ!!稲荷崎高校!!」












『春高で!!』








あんなにかっこいい別れ方したのに……。














再会、案外早かったな……。

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