「ね、あそこどういう組み合わせなのかなぁ」
「なんかレベル高くない!?」
「紅一点の子羨ましすぎる……」
見られてるなぁ……。
丸テーブルに腰掛けて、4人がけのところを6人で使っているのでキツキツだ。
研磨「あなた、たこ焼き美味しそう」
あなた「あ、いる?」
隣に座ってりんご飴を見つめていた研磨くんが顔を覗き込んできたので、爪楊枝を差し出した。
研磨くんはそれを凝視してから少し止まって、りんご飴とペットボトルのお茶を両手に抱える。
研磨「……手、塞がってる」
あなた「え、たった今塞がったように見えたけど……」
ピクッと肩を動かして、「そんなことない」と首を振る。
もう……弟みたいなんだよなぁ。
あなた「しょーがないなあっ」
研磨「……!」
たこ焼きに爪楊枝を刺して、下に手を添えて持ち上げた。
あなた「どーぞっ」
赤葦「(……あんなに嬉しそうな研磨初めて見た)」
菅原「(くそぅ可愛い特権かよ!?俺がやってもただのキモい先輩じゃねぇかぁぁ!!)」
途中まで口を近づけて、たこ焼きに少し触れてから「ぁち、」と顔を離した。
ペロッと唇を舐めて、上目遣いで見つめられる。
研磨「……俺、猫舌」
あなた「…………?」
猫だけに?
研磨「ふーってして……ほしい」
あなた「ふ……?あ、冷ますってことか」
自分に近づけて、2、3回息を吹きかける。
……これ、手が塞がってても自分でできるような。
なんか上手いこと掌の上で転がされてる?
……怖いこと考えるのはやめよう。
あなた「はいっ、熱くないと思うよ〜」
再度近づけると、「んっ」と頰を緩めて小さな口を開けた。
ぱくっ
研磨「……………!」
あなた「〜っ、え…………、夜久さん!?」
研磨くんが食べる寸前で、後ろから手首を掴まれてたこ焼きを奪い取ったのは夜久さんだった。
実行委員の仕事が終わったみたい。
夜久「モグモグ……ん!うめぇなこれ!!」
研磨「……俺のたこ焼き」
菅原「(夜久くんナイス!でもそういう事なら俺が……)」
夜久「(悪いな研磨……でも見つけちまったもんは邪魔してぇだろ!)」
夜久さんと研磨くんが何故だか睨み合っている。
……そんなにたこ焼き好きなのかな?
あなた「私もう一個買ってくるね!研磨くんそれ食べてていいよっ」
人気みたいなので買い足そうと席を立ち、なにやら声をかけて来ている皆の声を背に受けながら小走りで屋台に戻った。
たこ焼きを1パック買ってから、夜久さんがお昼がまだみたいだったのでホルモンうどんを買いに1組の屋台に並んだ。
あなた「1つください!」
山本「へいらっしゃ_______、!!?ぅえっ、え!?」
景気良く返事をしてくれた山本先輩は心底驚いたように目をぱちくりさせて、なかなかお金を受け取ってくれない。
あなた「あは……こんにちは」
山本「うぉぉぉぉぉぉぉ俺にも春がやってきたぁぁぁ!!」
……?
「今は秋だ。早く金受けとれよっ」
奥にいたクラスメートさんが代わりに受け取ってくれて、「今焼いてるんで2、3分待ってもらっていいですか?」と尋ねてきた。
あなた「はいっ」
頷いてから腕時計を見ると、1時半。
黒尾さんとの約束の時間までまだまだある……。
ぶっ通しで仕事とか大変だなぁ。
山本「りゅ、龍は!?龍もきてんのか!?」
あなた「あ、いや……来てるのは私と菅原先輩と縁下先輩だけで……」
山本「そっか……!龍も師匠も元気!?」
あなた「っ、あー……。はい!元気ですっ」
山本「おーそうかそうか!お〜いてっちゃん!大盛りにしてやって!」
「お〜」
山本先輩は奥でパックに詰めているクラスメートさんにそう言って、「サービスな!」と人差し指を口の前に立てて爽やかに笑った。
女子に飢えてなければ充分モテると思うんだけどなぁ。
言わないでおこう。
⭐︎おまけ⭐︎
低クォリティー過ぎてもう……。
Instagramの方で1部を上げたら反響あったので載せちゃいますが温かい目で見守ってください🙇♀️
【412話 吸血鬼に包まれて】より
あなた「!!!?」
黒尾「((やべぇ小っっせ、ん"ん"!?可愛いかよ!?))」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。