サオリ「倒れたあんたを1番心配して保健室まで運んだの、月島くんなんだよ!?」
月島くんが……私を心配、?
運んでくれたの……?
私の驚いた顔を見て、椋樺は笑った。
椋樺「まぁ、あんたはあの先輩のことが好きみたいだけど?」
あの先輩……?
あなた「_____って、西谷先輩!?いや、えっと、まだ好きとは……」
綾乃「否定しないんだぁ~」
つんつんと脇腹をくすぐってくる綾乃の手を押さえる。
あなた「なっ、だから、そうじゃなくもなくて」
慌てる私を見て、「顔真っ赤~」と皆笑った。
先生「おうちの方、今家におられる?」
皆が教室に帰っていって、静かになった保健室で先生と話す。
あなた「いえ……仕事なので……。夕方になったら、兄が部活終わるので迎えに来てくれます」
先生「そう。それなら、それまで横になって_____、」
ガララッ
先生がタオルを絞って私の額にのせようとした時、また誰かが入ってきた。
?「あなた!!」
あなた「、カゲくん!」
顔を見て、なんだか安心した。
カゲくんは、私の目が覚めたと聞いて飛んできてくれたみたいだった。
影山「あ、俺こいつ家まで送りますよ」
カゲくんがそう言うので、お言葉に甘えて帰ることにした。
あなた「……へへ。カゲくんにおんぶしてもらうの、2回目だね」
影山「……そうか?」
あなた「うん。私が熱出したとき、おんぶしてくれた」
影山「あぁ、あの時か」
あなた「それで、私の季節外れのインフルエンザがカゲくんに移っちゃってもう大変っ」
ふふふと笑うと、カゲくんの背中が揺れる。
影山「お前、俺に隠し事してただろ」
もうすぐ家というところで、そう言われた。
カゲくんにはやっぱり敵わないな、そう思いながら話すと、「なんで俺には言わなかったんだ」と怒られた。
あなた「だってカゲくん、言ったらあの子達殴りに行ってたでしょ、それは困るもん」
そう言うと、少し黙って、そして少し笑って言った。
影山「あぁ、言わなくて正解だったな」
あなた「っ、ふふ……カゲくん~っ」
影山「うわ、なんだよ暴れんなっ」
あなた「へへ~っ。ありがとね~」
そう言って、改めて背中に体重をかけると、カゲくんは顔を赤くして「寝てろ」と呟いた。
カゲくんの背中はいつの間にか前の時よりおっきくなったと感じて、暖かくて、安心して眠った。
よし、合宿頑張ろう!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!