大会の翌日。
いつも通り朝練はあるので体育館に向かって、病院に行ってから来る月島くんの事を澤村先輩に伝えてからマネージャー業務をこなした。
日向「あなたあなたあなた!!」
あなた「おうなんだいっ!日向日向日向!」
昨日の今日で元気だな……いや、昨日の今日だから元気なのか……?
日向「あのさ!昨日俺の中学の友達が来てたんだけど、分かる??」
あなた「あ〜……試合の時足技使ってた人とかだよね!」
ボールを腕の上で転がして「そうそう!」とにこやかに笑う日向。
「それがどうかしたの?」と尋ねると、思い出したように「うん!」とボールをしっかり持った。
日向「コーj_____あ、幸治!その足技の奴がさ、あなたと友達になりたいみたいで!」
影山「……(あ"?)」
菅原「…………(聞き捨てならないぞ)」
澤村「………………(またライバル増えるのか……?)」
西谷「……………………、」
日向「あなたのLINEコージーに送ってもい_____」
「「「「「「駄目d______」」」」」」
あなた「あー、ごめんっ」
日向「えっ?」
何故か一気にこっちを向いて大声を出した皆の声と私のそれが重なって、日向は私に再度要求した。
あなた「えっと……嫌とかじゃないんだけど。男の子と連絡先を交換するのは……さ」
日向「……え、俺してるけど大丈夫……?それとも俺って男じゃない!?」
みるみる顔を青ざめる日向に吹き出した私を、心配そうに皆が見つめる。
あなた「えっと、勿論部活の皆さんとか、既に交換してる人を消すとかではなくて……新しく追加するのは、ちょっと」
そこから先を濁してしまったけど日向は分からないなりにも「そっか!了解!!」とグッドサインを送ってくれた。
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月島くんがいないので、山口くんと2人で教室へと向かった。
山口「……ね、あなたちゃんさ」
あなた「んぁ?」
忘れ物がないか鞄を確認していると、山口くんは苦笑しながら頰を掻いた。
山口「ツッキーと付き合ってるんだよ、ね?」
あなた「んごほっ、」
……あれ?
山口くん、知ってたっけ?
月島くんが言うとも思えないけど……。
文化祭のコンテスト出場者を決める時の騒動は、「言葉のあや」として割り切れたはず。
山口「や、最近よく一緒にいるし、それにこないだツッキーの家から出てくるとこ見ちゃって……」
あなた「〜っ、み、皆には内緒にしてるの!!だから……」
高い位置にある肩に手を伸ばして必死に抑えると、コクコク頷くので開放した。
山口「ほんと……あなたちゃんは、ツッキーの事どんどん変えてくれるよね」
あなた「……え?」
山口「ほら、もう出会った時から2人って深かったなって思って」
あなた「……そう、かな」
教室が近づいて来たので会話は中断し、いつも通りの学校生活が始まr_________。
「ああああああ!!岩泉さんおはよう!!」
「来た来た来た来た!!おっ、山口いるじゃん!あれ、月島は!?」
「岩泉さん!こっち!こっちきて!!」
……いつもの学校生活ではなかったようです。
その後一頻り昨日の事を祝ってもらって、月島くんがいたら嫌な顔するだろうなと思って笑ってしまった。
昼前に月島くんは学校にやって来て、同じように祝福されながらいつも通りの無気力スタイルで受け流していた。
あなた「おはよっ」
月島「……おはよう」
昨日のあの甘々攻撃……無かったことにしようとしてるな?ふっふん。
ちょっと勝ち誇った気分になっているところで、LHRの時間を使って文化祭についてを進めた。
藤原「んじゃっ、コンテストの衣装担当は小鳥遊さんに決まりました!!」
私と月島くんが出る男装・女装コンテストは、言わば"勝ちに行く"分類らしく熱が入っている。
吹奏楽部の小鳥遊さんが拳を握って、皆がそれを拍手で鼓舞する。
小鳥遊「ふふふふふっ、2人にはちょっと頑張ってもらいます!」
……嫌な予感しかしない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。