本編(?)スタートです!
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月島「本当に……いいの?」
あなた「……うん」
もう何度も唇を重ねてから、月島くんは耳元でそう囁いた。
“引き返すなら”、今のうち___。
そういう意味合いだとすぐに分かって、私は首を縦に振った。
あなた「月島くんの方こそ……私なんか、」
月島「……キミがいいって、何度言ったら分かるわけ?」
あなた「……うん。………………うん」
なんだかもう、泣き疲れて、考え疲れて……。
頷きながら月島くんの胸元に顔を埋めた。
あなた「………………ありがとう」
月島「……ん」
優しく、優しく頭を撫でてから……。
キュっと抱き締めて、私の首元に顔を落とした。
あぁどうして……。
どうしてこんなにも、優しいんだろう。
暫くしてから、部屋に戻った。
仁花ちゃんは戻ってすぐに駆け寄ってきて、「どこ行ってたの?」と心配そうな顔を向けた。
あなた「ごめん……!迷子になっちゃって」
まぁそんな訳ないんだけど、容易く信じてくれたのでそういうことにしておいた。
かおり「そうだ。さっきさ……烏野の人が部屋に来たよ?」
衣服をたたみ畳みながらこっちを向く。
烏野の人……?
あなた「……?私に、ですか?」
仁花「あ、そうだった!あのね、なんか急いでたみたいで……」
あなた「、誰?」
マネージャーの事なら清水先輩がいるし、ならカゲくんかな……?
仁花「西谷先輩!」
あなた「_______、」
言葉に詰まった。
西谷先輩……。
どうして、西谷先輩が……?
あなた「……急ぎの用、だったの?」
仁花「うーん……なんかね、走ってきたみたいだったから……。でも、「居ない」って答えたら「やっぱり大丈夫」って」
あんなに……。
あんなに距離ができていたのに、どうして急に私のことなんか……。
正直、話を聞きに行こうかと何度も頭を過った。
でも……。
月島くんが、いるから……。
あなた「……そっか。教えてくれてありがとう」
……もう、やめよう。
黒尾𝓈𝒾𝒹𝑒.°
うっわ……染みる。
研磨「……クロ、もう食べないの?」
黒尾「おーん」
昨夜殴られて、口ん中切れてんな……。
……あの後、マネ部屋に走っていく西谷が見えた。
きっと話しに行ったんだろう。
それなら、晴れてあの2人は……。
研磨「あ……あなた、おはよ」
あなた「おはよ!研磨くん」
ほら、この嬉しそうな口調……。
俺は目を落とした。
幸せそうな顔を、見たくないっていう少しの抵抗。
研磨「ここ、座………………もしかして、2人?」
一緒に飯食うのか……一旦部屋戻ろうかな。
あなた「あは、うん。じゃあお邪魔します」
2つの、椅子を引く音。
黒尾「……研磨ぁ、俺監督んとこ行ってk___ツッキー?」
あなたの隣に座っていたのは、西谷ではなくてツッキーで。
月島「?……なんですか」
何度見てもツッキーだ。
なら西谷は……?
あなた「……黒尾さん、もう食べないんですか?」
黒尾「……ん、おう。染みるから」
動揺して適当に答えてから、やっぱり部屋に戻ることにした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。