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第1話

‥初のペナルティ無し‥
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2020/04/03 11:37
最初は森然高校か……。



対戦表を見ていると、そこに背後の影が写った。


振り向くと、ニヤニヤ笑っている黒尾さん。


黒尾「さっきは研磨に先越されたからなぁ~」

あなた「……?」


なんのこと?


あなた「あ、音駒が当たるのは……」

黒尾「知ってるよ。…………なぁ」

あなた「ん?」


え?


ズイっと近寄られて後退ると、どんどん詰め寄ってきて壁まで追いやられた。


あなた「なになになにっ!?」


黒尾さんは焦る私を見て唇の端を吊り上げた。


スゥっと近寄ると、右手で私の髪を耳にかけ、顔を近づける。


あなた「っ、なに……」




黒尾「今日の夜、中庭に来て


露になった私の耳元でそう囁くと、顔を離して目を合わせると皆のところへ戻っていった。



中庭……?どうして……。


理由はよく分からないけど、なにか用事があるのかな?


澤村「フライング一周~」



もう何度目のペナルティだろうか。


音駒だけではない。

毎練習後に100本サーブを打っている神奈川県の生川高校。

コンビネーションの匠、埼玉県の森然高校。

さらに全国五本の指に入るエース木兎さん率いる、東京の梟谷学園。


そのすべての全国レベルに、烏野は着いていけていない。


別にこっちの調子が悪いわけでもない。


まぁ、日向達がいないのが大きいのは確かだとして、さすがだ。



ピーーッ


澤村「よーし。じゃあフライング一周!」



生川との試合も20対25で負けた。


?「あいつら何敗目だよ……」


どこかのチームの人が話すのが聞こえてきた。


?「別に弱くないけど、平凡、だよな?」


?「音駒が苦戦したヤバイ一年てどれのことだよ。音駒の連中の買い被りすぎじゃ」




……好き勝手言いやがって、やんのかおらぁ。


隣でしかめっ面をしている仁花ちゃんと、ぶつぶつ言い合う。


あなた「ちょっと一緒に乗り込む……?」


谷地「そうだねっ、行こうか……」



どうやって奇襲を仕掛けようか悩む。



清水「二人とも押さえて。どうどう。……大丈夫。田中の言うことが本当なら、もうすぐ……」


ガララッ


見計らったように空いた扉から、まず金髪の女の人が顔を覗かせた。


それに続いて入ってきたのは、カゲくんと日向。


無事補習を乗りきったようだ。



よし!挽回だぁ!!



烏養「あなた~」



カゲくんのところに駆け寄ろうとしたところで呼ばれて、手招きされたので行ってみると悪い顔で笑うコーチ。



烏養「次は森然とだけど、どうだ?半日試合見た感じ」



そう。カゲくんたちが到着するまでをタイムリミットとして、各校の分析をしてみろと言われた。


あなた「んと、とりあえず傾向とかは掴めました」


そう言ってノートを渡すと、パラパラと読み漁ってから「上出来だ」と歯を出して笑った。





「3番3番っ!!!ストレートだ!!」



「ナイスレシーブ!」


バシュッ!!!!



ジャンプした日向にカゲくんがトスを合わせる。


補習後でもキレッキレのトスまわしだ。


カゲくんと日向のコンビ、そしてわずかながらも私のノートが役に立ってくれたようで、25対21。


9セット目にして初めて勝利を獲得した。



?「あの途中から来た九番十番の速攻なんなんだっ!」



変人速攻です。


そして赤点遅刻組です。



あなた「お疲れ様ですっ」



田中先輩と西谷先輩にタオルを渡すと、2人とも笑顔で受けとる。



やっと勝てたしなぁ……初のペナルティ無しかぁ……。


田中「……向こうは生川高校対音駒かぁ、時間的に、あれが今日のラストゲームかもな」

西谷「だな」


まだ息が完全に整っていない西谷先輩が同調した。



ピーーッ


リエーフ「あなたっ!!見たか俺のスパイク!」




試合に勝つとすぐにリエーフくんが駆け寄ってきた。

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