その日の夜。
なぜか2人にまで10時には寝ろと言われてしまい、9時過ぎには布団に入った。
今日も……色々あったなぁ。
この家の匂いにも馴れてきた。
……でも、やっぱり、皆に会いたいなぁ。
コンコンッ
あなた「?はーい」
扉を開けると、「よぉ」と立っている上半身裸の治。
…………。
上半身裸……というか、下半身もタオルを巻いているだけ。
あなた「~っ、なっ、な……!」
お風呂上がり……!?
何でこんな格好……!
治は私が両手で顔を隠したのを見て「おぉ、堪忍なぁ」と言いながらズイズイ部屋に入ってきた。
治「服忘れてん」
あなた「……あ、あぁ、なるほど……。LINEしてくれたら持っていったのに……」
治の方をなるべく見ないように布団に戻って座り、壁の方を向いた。
治「俺のパンツ持ってくるん?」
あなた「や……別に下着くらい……」
よくお兄ちゃんの洗濯物畳むし、馴れてるけど。
治の衣擦れ音が、2人の沈黙を埋める。
治「おし」
着替え終わったらしく、寝直そうと壁に向くのをやめた。
あなた「_____っ、治…………?」
扉の方に向かって行ったと思ったのに、いつの間にか治も布団に乗っかっていた。
……寝ぼけてるの??
流石にないよ、ね?
治「……あなた、ちゅうしてええ?」
あなた「ダメ」
何言うかと思ったら……もう。
即答した私に治は大笑いをして、やっぱり冗談だったかと少し安心した。
治「ダメかぁ~」
あなた「当たり前でしょ」
治「誰とならできるん?……てか、したことあるん?」
なんでそんな会話広げようとするの……。
あなた「好きな人としかしない!はい終わり!」
会話を終了させて布団に潜り込んだ。
「好きな人」……。
に……西谷先輩と……き、き……キs____///
あなた「~っ//」
やばい、自分で言って自分ね考えて自爆するなんて……!!
モゾモゾ……
あなた「___……って、何入ってきてんの!?」
悶えていると、布団の端が捲れて治の足が侵入してきた。
治「今日も一緒寝ようやぁ?」
あなた「寝んわぁ!!!ひゃっ、ちょ……上乗っかんないで!」
体にズシッと体重が乗っかったと同時に、首元に吐息がかかる。
ビクッと体が震えて、引き剥がそうともがくけど体育系男子をそう簡単に動かせる訳もなく。
治「抵抗すんなや……」
あなた「~っ、するでしょ!!」
コンコンッ
え。
侑「あなた、ちょっとええか?」
まずい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!