日向「お前は……こっちにババを持っているな?」
影山「っ!!……持ってない」
日向「ふっふっふ……とりゃあ!!……ババかぁい!」
皆でしていたはずのババ抜きはなぜか日向とカゲくんの一騎討ちとなり、観戦に飽きた皆は適当に駄弁る。
菅原「はははっ。西谷はほんとに清水のことが大好きなんだなぁ」
1番触れたくない話題になってしまい、今すぐ逃げ出したい思いを抑えて笑顔を貼り付ける。
西谷「当たり前っすよ!潔子さんほど美しい者はこの世におりません……」
田中「日本刀で切りつけられたいぃ……」
田中先輩のはよく分からないけど、西谷先輩のはやっぱり共感できた。
同姓の私からしても見とれてしまう美貌を持っている。
本当に羨ましい。
それより……眠い。
くあぁっと欠伸をして時計を見ると、10時前。
そういえば私、10時以降は未知の領域だ。
いつもいつの間にか10時には眠ってしまっている。
誰かと電話をしているときは起きているけど、ほとんど話していた内容は記憶にない。
それでもやっぱり皆と一緒にいる時間は楽しくて、眠気を冷ますために1度顔を洗いに行くことにした。
・
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日向「くっそぉぉ!負けだぁぁぁ!」
影山「っし!!」
澤村「やっと終わったか」
菅原「次はババ抜き以外にしよう~」
影山「……?あなたはどこ行きましたか?」
田中「なんか顔洗ってくるって出ていったぞ」
影山「え!!?誰も着いて行ってないんですか?」
縁下「大丈夫だろ~洗面所はすぐそこだし迷わないよ」
影山「違うんです!!……今、9時58分……俺探してきます!!」
ドタドタッ
澤村「何をそんなに焦ってるんだ……?」
菅原「さぁ……?」
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月島𝓈𝒾𝒹𝑒.°
ガコンッ
明日も練習あるんだから皆とっとと寝ればいいのに。
合宿の夜がそんなに楽しいのか?
理解できないな。
あなたも、西谷先輩と居られるから満足なんだろうか。
……?
買ったジュースを持って解団を登っていると、途中に座っている1人の影。
……嘘でしょ。
壁に寄りかかって無防備に眠っているあなただった。
月島「ちょっと……風邪引くよそんなとこで」
声をかけるけど反応がない。
熟睡してるのか?
肩を掴んで揺らすと、バランスを崩して倒れそうになる。
月島「っ!!……あっぶな」
頭を打たれても困るし、仕方なく肩を貸してやることにした。
月島「ねぇ……起きなよ」
顔を覗き込むといつもは腹立たしい顔がなんだか子供みたいで不覚にもドキッとした。
……あぁむかつく。
腹いせに緩みまくっている頬を引っ張ると、目がピクッと動いた。
あなた「……んぁ……?」
虚ろな目が向けられる。
……腹が立つ。
どうしてコイツはこんなにも、僕の心を揺さぶるんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!