第357話

軽い拷問
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2023/05/10 07:52
月島𝓈𝒾𝒹𝑒.°



あなたが風呂に入ってる間、自室で頭を抱えていた。

家に呼んだはいいけどこれと言ってすることがない。

宿題を持ってくるとは言っていたけど、終わったら何をしよう。   


ゲーム機なんて持ってないしそもそも女子と2人で遊んだことなんてない。   



……何するもんなんだ?


ふと、あなたがさっきまで座っていたベッドに目をやった。

 

……。


  

月島「いや……違うだろ、///」


あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°



あなた「……月島くん」


あ……こうして見たら、月島くんの方が背が高いんだ……。


って、そうじゃなくて……!


 

明光「蛍……」


月島「何話してたの」


あなた「あ、うぅんと……大したことは別に、」


月島「……行くよ」



月島くんはお兄さんに目もくれず、余りきったパーカーの袖を引っ張って二階へ引っ張られた。






パタン……



あなた「なんか……機嫌悪い、?」



もしかして、服似合わなさ過ぎて幻滅した……?
 
それともお兄さんと話したから?
ブラコンだったりするのかな?



月島くんは何も答えず、ただ高い位置から見下ろしてどんどん近寄ってくる。

威圧感に怖じけて後ずさると、クイっと背中側の布を掴まれてベッドに身を預けた。




あなた「月島くん……?」



覆い被さるように私の顔の両側に手を付いて、視線が交わる。



月島「……キミってこんな小さかったっけ、」


あなた「……バカにしてる?」



そりゃ月島くんの服着てたらそう見えるかもしれないけど……!



月島「……無理なんだけど」


あなた「う……やっぱ似合わないよね?ごめんって……」



あれだよね、彼シャツなるものが私なんかで台無しに……。



あなた「っ、んむっ」






チュ……、




何度も何度も、言葉を遮るように唇を塞いで止まらない。








あなた「ふ……ぅ、月島く、___」


月島「無理……抑え効かない」


あなた「ぇ、」



月島「なんでそんな隙だらけなわけ?手出されても文句言えないと思うんだけど」





っ……!?






あなた「え、待っ……しない、でしょ?」







目が据わってると思うのは私の勘違いだろうか。


  

月島「ちゃんと抵抗して……。じゃないと、ほんとにやばいから……加減できない」


 
あなた「…………っ、」






息遣いが荒い。


月島くんのこんな顔……見たことない。



このまま身を任せれば、されることはちゃんと理解してる。


してる、けど……。




月島「……抵抗、しなくていいの?」



あなた「〜、」




そんなこと言われても……していいものなの?

だって、付き合ってるわけだし……。




あなた「_____!!?、ん、待っ……」 







着崩れたパーカーの裾から空気に触れたお腹辺りに、月島くんのひんやりとした手が這う。


どんどん上に上がってきて、ギリギリのところで私の手が動いた。



両手で掴んで、押し戻す。




あなた「やっぱ……恥ずかしい、かも」


月島「……分かった。」







目を伏せて、手を離した。


その手首を掴んで、逆に思いっきり引っ張る。




月島「っ、!?」



ポスッ……


 
上手いこと避けて、私の顔の横に顔が落ちた。



月島「……何」


あなた「宿題、の前に……」



月島𝓈𝒾𝒹𝑒.° 



「宿題の前に」、なんだよ……。

 
あなたはもぞもぞ動いて僕の体から抜け出し、一旦離れてまたくっついた。


僕の首元に顔を近づける。


スンスンッ、


鼻を利かせて、へらっと笑った。




あなた「月島くんの匂い……好き、」



月島「っっっ、」



キュゥゥゥゥゥ、



喉の下あたりが締め付けられるような感覚。



僕はあなたのこの顔が苦手だ。

 
愛しすぎて、セーブが効かなくなってしまうから。




月島「ちょ、離れて____」



スー、スー……スー…………




……嘘でしょ?





あぁ……なるほどね。




キスしたあたりから薄々勘付いてたけど……。



部活後に、雨の中走ってほぼ道を往復。
 

加えて風呂上がりのせいで血流が良くなって……。




眠かったわけか。
  


流石に夜のあなた程ではないにしても、今みたいな甘え切った顔をしたのはそのせいだろう。



僕の胸元に無防備に顔を押し付けて、幸せそうに寝息を立てる。





今我慢したばっかりなのに……。












月島「……軽く拷問だろ。これ」

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