牛島「日曜は部活3時までだがどうする?」
もう暗くなってきたので解散することになり、店を出てすぐにそう言われた。
あなた「日曜…………あ、日曜はダメだ、ちょっと予定が……ごめん」
白布「遊んでばっかねぇで勉強しろよお前アホなんだから」
……いちいち楯突いてくるなぁこの人。
あなた「はーい……あ、工くん、ごめんジャージ……水かけちゃった時濡れたから、土曜届けに行ってもいいかな?」
脱いで腕にかけたジャージを見せると、両手を大きく振った。
五色「いやいや!いいよそんな!悪いことしたの俺だし、ど、どうせ着てた服も濡れてるから一緒!」
あなた「え、でも……」
水をかけてしまったのは私だし、というか私が着ていたからだし、流石に申し訳ない。
私が食い下がると、「なら……」と五色くんはポケットから携帯を出した。
五色「れ、連絡先、交換してくれない!?」
連絡先……?
あなた「あ、そっか。じゃあ届けに行く時間また伝えるねっ」
そう言って鞄の中の携帯を探っていると、なぜか周りからの笑い声。
天童「あなたたん天然だネ~っ」
瀬見「伝わってないな」
大平「頑張れっ」
……?
あなた「えっと、これ連絡さk__」
五色「そうじゃなくてっ!」
出した携帯を、手ごと押し戻してきた。
あなた「え、あ、ごめん。家電の方がいい?」
五色「あぁ違う!!いる!」
手を引っ込めるとまた掴まれて引き寄せられる。
……どっち?
工くんは暗い中でも分かるくらい赤面し、ゆっくり言った。
五色「こ、……個人的に、連絡先がほしい、から…………ダメ?」
あなた「___えっ」
なんだかその上目遣いをする姿が、ほんの少しだけ研磨くんと重なった。
顔をもっと真っ赤に染めて、キュッと目を瞑っている。
あなた「……うん、交換しよっ」
工くんは優しいし、悪い気はしないので改めて画面を出すと表情に花咲かせた。
五色「うんっ!ありがとう!!」
ピロリンッ
携帯をかざそうとする五色くんの前に、誰かの携帯がそこに現れ友達追加のお知らせが来た。
五色「さっきから何のつもりなんですか!」
能面で携帯を操作している白布さんに、工くんは大きな動作で尋ねた。
なんで白布さんが私の連絡先なんか……。
と、手元が震えて画面を見ると早速通知。
……。
え、追加したのそっちだよね?
画面を見て唖然としている私を見て、白布さんは微かに鼻を鳴らした。
白布「分からないところがあったら連絡しろ」
あなた「…………どうも」
五色「~っ、俺も!俺も交換っ!!」
話していると工くんが地団駄を踏むので、謝って交換して皆とお別れした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。