ピッ……ピーーッ
東峰「うおぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
両手に拳を作った旭先輩の雄叫びに呼応するように、会場が盛り上がった。
あなた「~っ……」
滝ノ上「おっしゃぁぁぁ!……って、あなたちゃん!?」
あなた「ふぇ……?」
嶋田「な、泣いてんの!!?」
そういえば、西谷先輩のレシーブの辺りから目と喉が熱かった。
こんなに、こんなに感動した試合は今までにない。
あなた「~っ……感動して……っ」
ポタポタと流れる涙を必死で拭っていると、2人は優しく「そうだな」と言ってくれた。
?「澤村ぁ、菅原、東峰!2回戦突破おめでとう!」
スタンドに挨拶に来た皆に、女子バレー部の先輩が手を振った。
澤村「道宮!道理で女子の声がすると思ったっ」
菅原「気付かなかったのかよお前……」
道宮「リベンジ、できたね」
澤村「っ、おう!___って、あれ?あなたは?」
菅原「ほんとだ、居ない」
居るんです。
実は。
もうね、涙止まらんくてついつい横断幕に隠れちゃいました。
今でも止まらんです。
どうしましょう出ていけません。
このまま行方不明でお願いしていいですかね?
滝ノ上「たっく……おーい!居るぞここに!」
あなた「っちょ!!?滝ノ上さんのアホ!!」
田中「?なんで隠れてるんだよ!」
西谷「そうだそうだっ!」
菅原「ほらあなた~っ出ておいで~」
グイッ
無理やり立たされた私は、もうどうしようもない顔で皆を見下ろした。
私の顔を見ると、皆納得したような笑顔を見せた。
澤村「っはは、なるほどな」
菅原「ほらもう泣くな泣くなぁ~」
月島「プックク……ひどい顔~」
東峰「こ、こら月島ぁ」
やだもう恥ずかしい……。
顔を覆う私に声を張ったのは、やっぱり西谷先輩だった。
西谷「あなた!見たか俺のレシーブっ!!」
あなた「っ、はい……グス,見ました……、っどちゃんこかっこよかったです!!!」
涙ながらに叫ぶと、西谷先輩は笑いながら拳をつきだしたので、私もそれに応えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!