あなた「「認めてる」って……え?」
復唱すると、黒尾さんは私をようやく解放してため息をついた。
黒尾「何度でも言ってやる。「認めた」って言ったんだ。だから音駒に居ろ」
認めて、くれた……。
あの黒尾さんが……!?
研磨「クロ、やっと正直になった」
黒尾「うるせぇ」
あなた「う…………でも」
食い下がろうとすると、黒尾さんは腰を折り曲げて私の耳元で囁いた。
黒尾「「にしのや先輩」探し当てて、風呂でのこと全部話そっかなぁ~」
あなた「………………分かったよ」
研磨「っ!あなた、ほんと?」
影山「おい……?あなた??嘘、だろ?」
田中「戻ってこいあなたちゃんっ」
西谷「…………」
縁下「西谷菩薩顔止めろ!!」
烏野の皆を見て、頭を下げた。
あなた「今日、もう1日だけ抜けさせてください。……マネージャーが居ないと、大変だと思うし……」
そう言うと、灰と化したカゲくんを揺さぶりながら武田先生が頷いてくれた。
夜久「あなたちゃん、タオル頼む……あなたちゃん?」
あなた「!?っ、はい!!すみません、タオル……はい!」
烏野の皆のアップを見ていたら反応が遅れてしまった。
あぁ申し訳ない……。
夜久「……ごめんな、あなたちゃんだって戻りたいよな」
あなた「!?いやっ、あ、戻りたいは戻りたいですけどそんなっ!音駒の皆も大好きだし……」
夜久さんは目を潤ませながらタオルを鼻に近づけた。
夜久「まじでいい子!そんでタオル今日もいい匂い!」
黒尾「あなた~俺にもタオル~」
あなた「ほい」
黒尾「なんか俺にだけ扱い雑くね?」
あなた「いいでしょ黒尾さんだし」
そう言うと、タオルでフワッと頭を叩かれた。
黒尾さんが認めてくれたんだって、今でも信じられない。
嬉しいなぁ……。
研磨「……あなた」
あなた「研磨くんっ。タオル?」
聞くと、フルフルと頭を横に振った。
そして少し不機嫌そうな面持ちで私の裾を掴んだ。
研磨「……なんで、クロにはタメ口なの」
あなた「___なんでだっけ」
黒尾「そりゃああの時だ。風呂ですっぽんぽ__」
ドゴッ
黒尾「いっでぇ!!お前ふざけんな!」
あなた「いたいけな少女に対してそんな言葉使うなアホ!!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。