侑𝓈𝒾𝒹𝑒.°
あなた「どっちもだいすきぃ~っ」
治「っ、/////」
侑「~っ……!/////」
……あかん。
可愛すぎるやろ、自分……。
声にならん声を出して手をワナワナさせた俺達は、あなたが思いっきり身ぃ預けて寝息を立て始めとったと気付くんに結構な時間を要した。
あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°
あなた「……ん」
朝……?
目覚まし、聞く前に起きちゃった。
ご飯作るかぁ……ん?
そういえば私…………昨日アラームかけたっけ?
携帯に目を向けると、1枚の紙の重石になっている。
【おはようさん。あんま可愛え寝顔やったけ起こすに起こせんかったわ(笑)練習試合は午後からやけ、とりあえず起きたら連絡しぃや。俺のLINE ID書いとくけん】
少し崩し字気味のその筆跡で、LINEのIDが書かれたあと【サムより】と大きく書いてあった。
……「起こすに起こせんかった」って。
携帯の画面を見て、その意味を理解した。
あなた「!!!!寝坊したぁぁぉ!」
書かれていたIDを即座に打ち込んでメッセージを送った。
あの2人……弁当持っていってないよね、てか朝御飯どうやって済ませたんだろう……?
ガッ!
あなた「ふぅおっ!?っ~!痛~っ!!」
とりあえず急ごうと部屋を出た矢先、角に小指をぶつけて悲鳴をあげた。
あなた「や……やっと、やっと着いた……」
超特急で3人分のお弁当を作って(実質4人分)家を飛び出た。
テーブルの上に前も着たジャージが置いてあったので、真夏にキツいけど怒られるのも嫌だし着ていくことにした。
稲荷崎高校に入って、今度は迷わずに体育館に向かう。
……どこから入ればいいんだろう。
ドタドタドタドタドタドタッッ
あなた「ほわっ」
背後からの足音に振り返ろうとした瞬間、女の子達の波に飲まれて連れていかれた。
大渋滞になりながら押し寄せられていった先は、まさかのギャラリー。
……降りれない。
来た道を戻ろうとしても、すでにギャラリーは人で埋め尽くされている。
「何自分、うちわも持ってへんのに1番前並ばんといてや」
グイッ
そんな制度あるのか……練習試合でこれだけのギャラリーって……徹くん以上じゃん。
~っ♪
治さんからLINEがきて、ギャラリーに居るけど降りられないと伝えた。
コートを見下ろして治くんを探す。
稲荷崎のユニフォーム……真っ黒だ。
ちょっと親近感を覚えながら見渡して、まず見つけたのは背番号10の倫くん。
まぁ、こっちには気づかないよね……。
?「なぁなぁっ」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!