烏養「んじゃ、明日も遅刻すんなよー」
烏野「うぃーす!」
影山「………………」
カゲくんの空気が明らかに重い……。
でも、私にかけれる言葉は、もう___。
タッタッタッタ……
考えあぐねているところに、日向が小走りに駆け寄ってきた。
日向「おい影山っ。10代半ばにして眉間のシワとれなくなるぞっ」
影山「あぁっ!?」
日向「明日、大王さま倒して……」
影山「っ、」
日向「テレビに映るんだから!爽やかな顔の練習した方がいいぞっ」
影山「余計なお世話だっ。試合には勝つ。勝たなきゃ先に進めねぇ」
カゲくんはそう言って、止めた足をまた動かした。
日向って、すごいなぁ……。
一瞬でカゲくんの空気を元に戻した。
つい2か月前に同じチームになったばかりなのに……。
あなた「日向」
日向「んっ?あぁあなた!明日はちゃんと俺らの応援するよな?な??」
あなた「ぷっ…………うん、勿論」
日向「おっしゃぁぁ!」
あなた「日向、ありがとね」
そう言うと、ポカンとした顔で「なにが?」と言うので「なんでもなぁい」と2人でカゲくんを追いかけた。
対策がどうとか、そういうの関係なく……この人たちなら勝ってくれるかもしれないと、思わざるを得なかった。
岩泉「ただいま」
あなた「おかえり~ご飯食べよっ」
出迎えると、少し驚いた顔で返事をした。
あなた「今日は徹くん来てないね。さすがに明日試合だしねぇ。っあ、この豆腐味染みてる~お母さんこれどうy__」
岩泉「あなた」
あなた「……なぁに?」
お兄ちゃんは多分、無理に会話を繋げようとしていた私に違和感を覚えたんだろう。
でもね、なんか、こうするしかなかったんだよ……。
岩泉「どっちかは勝って、どっちかは負ける」
あなた「分かってる……どっちも勝つなんて無理だって」
それでも……。
烏野が勝つと信じてるし、勝つことを望んでいる。
でも。
私は、お兄ちゃんや徹くんに勝ってほしいとも思っている。
白鳥沢に、リベンジしてほしいから……。
どっちにも、勝ってほしい……だけど。
あなた「私は、マネージャーとして烏野を1番に応援するつもりだよ」
箸が止まっているお兄ちゃんのお皿に麻婆豆腐をつぎながらそう言うと、お兄ちゃんは「ああ」と頭を撫でてくれた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。