あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°
……え、また起きたら朝なんだけど。
昨日……黒尾さんに怪我の手当てして……ん?なんだっけ。
考えていると携帯の着信音が鳴った。
鳴るってことはお兄ちゃんやカゲくんじゃないな……徹くんもお兄ちゃんもカゲくんも通知OFFにしてるし……。
メッセージを開く。
月島くん……。
あなた「ぶほぉっ」
……いやカゲくん大丈夫かな……。
萎れてるけど……。
……よし、ご飯作りに行こう!
ポスッ
ご飯をよそいでいると、肩に誰かの頭が乗っかった。
夜久「研磨ぁ~あなたちゃんの邪魔すんなよっ」
……研磨くんだったのか。
夜久さんに首根っこを捕まれて引き剥がされた研磨くんは、唇を尖らせた。
研磨「明日から、あなたのご飯食べれない……」
……もうっ、可愛い!
あなた「研磨くんにならいつでも作るよっ」
研磨「……ほんと?」
山本「お、俺にも……!!」
目をギラギラさせてハスハスする山本先輩に、思わず笑った。
あなた「はいっ。またいつか」
そう言うと泣きそうな顔をして、「愛してるぞぉぉぉ!」と飛びかかってくるのを夜久さんが止める。
今日も、いつも通りの皆だ。
黒尾「今日は肉じゃがか」
あなた「っ!!……あ、黒尾さん」
急な耳元の声にビックリした。
あなた「ねぇ……私昨日の夜、なにかあった?」
黒尾「知らねぇ。俺が部屋に帰ってから寝たんだろ」
あなた「そっ、か……」
即答されたからまぁそうなんだろう。
それよりも……。
結局最後まで、認めては貰えなかったな……。
肉じゃがを無表情で頬張る黒尾さんを見ながら、エプロンの裾をキュッと握った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。