及川「まずいまずいまずいまずい!あなたっ、とにかくここから離れよう!」
虚ろな目で辺りを見渡すあなたを、及川が抱き上げるので垂れ下がった腕を掴んだ。
パシッ
及川「ちょっ、マッキー邪魔しないで!」
花巻「どこに連れていく気かなぁ?松川ぁ、及川があなた襲おうとしてるぞ」
松川「……やっぱそういうやつだったか」
及川「ひどくないっ!?違う違うこれはっ」
松川をチラッと見ると頷いたので2人でじりじりと詰め寄る。
松川が羽交い締めにしたと同時に俺が及川の腕の中にいたあなたを引き剥がした。
略奪成功。
及川「かえせぇぇぇ!」
花巻「なに独り占めしようとしてんだよ!返すかばーか!」
あなた「……はなまきくん?」
と、やっと頭が冴えてきたのかきょとんとした顔で俺を見上げてきた。
なんで起こしちゃ不味かったんだ……?
花巻「あなた~。俺とこのままいいコトしない?」
及川「卑猥っ!!やめてよね!?」
あなた「いいこと……?」
あれ?
いつもなら恥ずかしがって殴ってくるとのなんだけど……。
ギュッ
花巻「っ!!?」
松川「!?」
及川「だめぇぇぇ!!」
あなたは俺の首に手を回すと、柔らかく笑った。
あなた「「いいこと」するぅ~」
え、なにこの可愛い生命体……。
花巻「え……あなたどうしちゃったんだ?」
あなた「んん~?ふふぅ~はなまきくんといいことする~」
キュゥゥゥ……
やべぇってこれ。
花巻「……いいコトしよっか」
ドサッ
及川「ねぇ!?マッキー何押し倒してんの!?」
あなた「ん~そふぁーやわらかぁ~い」
押し倒されてんのに呑気にニコニコしてやがる。
なにこれ、可愛い。やばい、可愛い。
あなた「ひゃうぅ……」
頬に触れると、ピクッとして体をよじった。
花巻「っ…………」
及川「マッキー!目据わってない……!?」
やべぇ。
2歳も下だぞ??
柄にもなくめっちゃ興奮してんだけど俺。
花巻「あなた……責任とれよ?」
耳もとで囁くと不思議そうな顔をして、再度笑顔を作った。
あなた「……?とるとるぅ~」
こいつ意味分かってないな……。
でもいいか。
花巻「言質は取ったからn__っ、松川邪魔するな」
松川「え、だって今襲おうとしたでしょ。流石にダメだよ?」
及川「まっつんナイス!」
グイッ
及川に引き剥がされてよろけた。
カーペットに尻餅をついてソファーに目をやると。
花巻「おい松川てめぇすんなり股がってんじゃねぇ!」
及川「そのフェロモンは色々アウトだよっ!!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!