第350話

ラッキーrain(?)
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2020/05/23 12:02
月島𝓈𝒾𝒹𝑒.°


ボトッ


あなた「あっ、ダメだ月島くん!」


月島「……なにが?」



下駄箱で上靴を履き替えながら、あなたはハッとしたように目を見開いて上履きを落とした。


拾い上げながら尋ねると、まるで世界の終わりとでも言うように顔を青ざめる。



あなた「週末、雨だよっ!」



……週の始めにそんなことまで把握してるの?



月島「……じゃ、出掛けるのは今度にする?」


あなた「う……ん、」



……。



なんだよそのしょんぼり顔は……////



付き合うことになってから可愛く見えるのは気のせい?錯覚?



月島「家は?……別に僕はどっちでもいいけど」



抱き締めてやりたい衝動を抑えながら平成を装うと、あなたは「あ"ー」と言葉を濁した。




あなた「うち……厳しいかも。昼間なら多分平気だけど、部活終わった後だしそんなに長く居れない……」


月島「?」



夕方以降だとダメな理由でも?



あなた「……お、お兄ちゃんが……居る、から」



言いにくそうに俯いて、くつ箱を静かに閉める。



“お兄ちゃん”……?


あぁ、4番か。



あなた「うぅ……お兄ちゃんにバレたら確実にやばい……しかも最近徹くん頻度が凄いし……」



……及川徹か。

絶対に会いたくないな。



あなた「週末はお預けかぁ……」



肩を落として石段を降りるあなたの背中に、聞こえるか聞こえないくらいかの声で投げ掛けた。



月島「……僕の家でもいいけど」


あなた「!」



めざとく振り向いて、目をぱちくり開ける。



あなた「……いいの?」


月島「別に……家族居るかもしれないけど」


あなた「…………」



少し黙り込んで、視線を落とした。


……流石に、付き合いたてで家に招くのは難あるか?




月島「嫌なら別にいいけどね」



本当は来てほしいけど、僕にそんなことも言えるはずがなく。


追い抜かして進んでいると、少ししてトトトッと追い付いてきた。



あなた「い……っ、いく!」



袖をキュっと掴んだ上目使い。



月島「……//あ、そ」



一気に胸が締め付けられて、熱くなった顔を見られないように背けた。








……部屋、掃除しよう。






あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°



一瞬迷ったけど……。


侑とか……治とか、倫くんとか。


それから、松川くんとも色々あったしなぁ。



でも、だって……月島くんは私の“彼氏”だから。


お家に行かない理由なんてない……よね?




更衣室前で別れてから、着替えて体育館に向かった。


やっぱり足取りは軽くて、月島くんの存在の有り難さが身に染みた。



あなた「……おっ、カゲくん早いねぇ」


影山「おう。ネット頼む」


あなた「はいは~い」




救急箱を壁側に寄せて置いてから、2人でネットを張った。



影山「……打つか?」


あなた「、打たない打たないっ。私マネージャーだしっ」



ボールを片手に尋ねてきたので、そう答えてドリンクの準備に取りかかった。


この間打たせてもらったときピンチになったし……。




谷地「あなたちゃん~」


あなた「仁花ちゃんっ。お疲れ様~」



日向と小走りで寄ってきた仁花ちゃんと、作業を進める。



谷地「そう言えば、昨日って体育の日だったんだよね、」


あなた「あ、そうだね。祝日」



仁花ちゃんは腕をまくりながら呟く。



谷地「体育の日って……10月10日のイメージだったって日向がさっき言ってて」


あなた「あ~。ちょっと前にハッピーマンデー制度みたいなのが導入されたらしいよ。なんか、月曜を休みにしたら連休がとりやすくなるって」


谷地「へぇ……!あなたちゃんすごいねっ。日向は、そしたら明日が休みだから、連休よりお得感あるよねって言ってた」



あなた「あはは……まぁ学生からしたらねぇ。どうせ部活はあるけ…………ど」




……明日?



今日って、10月9日。



明日は、10月10日。



…………10月10日って、


























西谷先輩の誕生日……だ。

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