黒尾「キミさぁ……呼んでないよね?」
黒尾さんの発言に、頭の中のパズルが解けた。
どうして、音駒はマネージャーに居るかも分からない3年生を指定してきたのか。
そもそも「1人貸してほしい」なんて、烏野に2人以上マネージャーが居るなんてどうして知っていたのか。
研磨くんと黒尾さんが、たまたま音駒に居たのだとしたら都合がよすぎる。
だとすると、考えられるのは1つ。
はぐれた清水先輩が、黒尾さんと2人で私たちを探していたことを思い出した。
そう、黒尾さんは、3年生のマネージャーにではなく、清水先輩に来てほしかったんだ。
あなた「……清水先輩狙いですか」
私の発言に、黒尾さんは少し驚いて、でもすぐに薄気味悪く唇をつり上げた。
他の皆に聞かれないように、腰を折り曲げて私に視線を合わせ。
ボソッと呟いた。
黒尾「彼女、可愛いよねぇ。
あなた「清水先輩に近づきたかったんだろうけど、そう簡単にはいきませんから!私が来て残念でしたねっ。」
わざと声を張ると、案の定他の人たちがざわめきだす。
?「シミズって、誰だ……?」
?「って、黒尾まさか女子に近づくために______、」
慌てて、黒尾さんは訂正した。
黒尾「違う違う!3年生の方がマネ業務手慣れてるし、他のチームでもちゃんとしてくれると思うだろ?」
その言葉に、「あぁ、まぁ……、」と納得し始めた。
黒尾「猫又監督~。俺、3年生ってお願いしたんですけど……。」
監督さんの方を振り替えるので、また声を張った。
あなた「本当にマネ業務中心で考えていたのなら、私でも充分力になれるはずです」
黒尾「でもキミ、1年でしょ?」
バカにするように指差してくる。
ら
流石に腹立つんだけど……。
あなた「もし私が使えないと判断したら、すぐにクビにしてくれて構いません。純粋に能力で判断をしてくれるのなら、誰にも負けない自信があります。」
自分でも信じられないほどむきになってそう言うと、黒尾さんはまたニヤッと笑った。
黒尾「言ったからな……その言葉、忘れんなよ?」
……この人さえ余計なことをしなければ、私は今頃あっちに居れたのに……。
西谷先輩の近くに、晴れやかな気持ちで立っていられたのに__。
絶対、認めさせてやる……!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。