第61話

‥VS‥
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2022/07/12 07:13
黒尾「キミさぁ……呼んでないよね?」







黒尾さんの発言に、頭の中のパズルが解けた。





どうして、音駒はマネージャーに居るかも分からない3年生を指定してきたのか。







そもそも「1人貸してほしい」なんて、烏野に2人以上マネージャーが居るなんてどうして知っていたのか。




研磨くんと黒尾さんが、たまたま音駒に居たのだとしたら都合がよすぎる。








だとすると、考えられるのは1つ。






はぐれた清水先輩が、黒尾さんと2人で私たちを探していたことを思い出した。











そう、黒尾さんは、3年生のマネージャーにではなく、来てほしかったんだ。









あなた「……清水先輩狙いですか」








私の発言に、黒尾さんは少し驚いて、でもすぐに薄気味悪く唇をつり上げた。







他の皆に聞かれないように、腰を折り曲げて私に視線を合わせ。






ボソッと呟いた。










黒尾「彼女、可愛いよねぇ。


あなた「清水先輩に近づきたかったんだろうけど、そう簡単にはいきませんから!私が来て残念でしたねっ。」



  


わざと声を張ると、案の定他の人たちがざわめきだす。










?「シミズって、誰だ……?」


?「って、黒尾まさか女子に近づくために______、」










慌てて、黒尾さんは訂正した。










黒尾「違う違う!3年生の方がマネ業務手慣れてるし、他のチームでもちゃんとしてくれると思うだろ?」








その言葉に、「あぁ、まぁ……、」と納得し始めた。










黒尾「猫又監督~。俺、3年生ってお願いしたんですけど……。」









監督さんの方を振り替えるので、また声を張った。










あなた「本当にマネ業務中心で考えていたのなら、私でも充分力になれるはずです」


黒尾「でもキミ、1年でしょ?」









バカにするように指差してくる。


 





流石に腹立つんだけど……。









あなた「もし私が使えないと判断したら、すぐにクビにしてくれて構いません。純粋に能力で判断をしてくれるのなら、誰にも負けない自信があります。」










自分でも信じられないほどむきになってそう言うと、黒尾さんはまたニヤッと笑った。














黒尾「言ったからな……その言葉、忘れんなよ?」












……この人さえ余計なことをしなければ、私は今頃あっちに居れたのに……。



西谷先輩の近くに、晴れやかな気持ちで立っていられたのに__。










絶対、認めさせてやる……!




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