リオ「ちゃんと決勝まで上がってきて、偉いねぇ~」
サオリ「月島くんと、それからバレー部に関われるのは今日で最後なんだし、せいぜい頑張れば?」
他の人に聞かれないように巧妙に話しかけてきた。
『キミがナイーブになるのとかマジで勘弁してよね』
月島くんの言葉を思い出して、笑みが溢れる。
あなた「うんっ。私頑張るね!」
拳を突き出して笑って見せると、3人はまた顔をひきつらせた。
あなた「それじゃ、作戦会議。向こうの主力は椋樺、リオ、サオリ。椋樺は特にスパイク強烈だから気を付けよう」
真綾「私あのスパイク取れる自信ない……」
真綾が頭を抱えて唸るので、肩にポンッと手を乗せた。
あなた「なるべく、向こうに攻撃させないようにこっちがガンガン点を取っていこう」
バスケ部女子「で、でも最初コッチのサーブで始まるよね……?初っ端から向こうの攻撃になるんじゃ……」
あなた「サーブを取らせなければいいよ。私のサーブから始めていい?取られない自信がある」
真綾「確かにあなたはサーブ上手いけど、バレー経験者には取られちゃうよ……」
いや、取られない。
警戒されないように今までは使わなかったけど、私には徹くん直伝のジャンプサーブがある。
とにかく大丈夫だと説得していると、野球部の男の子が手を上げた。
野球部男子「あのさ、観戦してて思ったんだけど、向こうでレシーブをまともにできるのはさっき岩泉さんが言った3人。けどあの3人、苦手なコースがあるみたいなんだ……」
一通り作戦会議が終わって、時間がきたので試合開始。
山口「あなたちゃん!ナイッサー!!」
向こうのコートでクスクス笑っている3人を見てから、ボールをつきながら後ろへ下がった。
笛がなり、高くボールを上げる。
キュッ、キュッ……
ドゴッ
ボールは一直線に椋樺の元へ向かった。
ちょっと横にそれたかも……。
でも。
椋樺「ぅぐっ、」
スパイク並みに威力のあるサーブは、椋樺の腕から弾かれてステージの上へと転がっていった。
あなた「っ、」
ガッツポーズをしようとしたところで、ギャラリーにいる他チームの皆の歓声に驚いた。
真綾「あなたっ!すごいっ!!すごいよ!」
跳ね上がってハイタッチをしてくれる真綾と笑い合う。
次もサーブは私だ。
序盤で突き放してやる……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。