綾乃「あなたおはよ!」
教室に入るとすぐに、綾乃達が出迎えてくれた。
ゴールデンウィーク前と違うのは、綾乃、真綾、さくらの3人に、椋樺、リオ、サオリが加わったこと。
違うクラスなのに朝を一緒に過ごすくらい仲が良くなった。
荷物を置いていると、リオが私の腕を掴む。
リオ「あなた!遊びに行こう!!」
あなた「ん?遊び??」
椋樺「来週末テスト期間で部活ないでしょ」
さくら「皆で遊びに行こうよ!」
……こんなにも仲良くなれたの……?
サオリ「ちょっ……あんた涙腺弱すぎ!こんなんで泣かないでよ!」
真綾「あなた~行くよね?」
わいわい盛り上がりながら、私がブンブン頷くと大笑いされた。
月島「仲、良くなったみたいだね」
昼休みに武田先生から雑用で呼び出されたバレー部2人(山口くんは委員会)。
プリントの整理をしながら話す。
あなた「ん…………あぁ、椋樺達のこと?」
……あれ?月島くん、椋樺たちと私が揉めたこと知らないはず……。
不思議そうな顔をする私に、月島くんは手を動かしながら言った。
月島「色々あったのはもう知ってるよ。良かったね。仲良くなれたみたいで」
なんで知っているのか勿論驚いたけど、なんだか違和感があった。
あなた「……月島くんて、こんな優しかったっけ」
私が誰と仲良くしようが自分には関係ないとか思ってそうなのに、「良かったね」なんて……。
月島「……やっぱ今の忘れて」
呆然とする私を横目で見て、そんなことを言うものだから笑った。
あなた「やだっ。優しい月島くんレアだもんっ!」
月島「あの時手を出さなかった時点で相当優しいと思うんだけど」
あなた「?なんのこと?」
月島「……なんでもない。それより__」
書類の整理が終わったのか席を立って、まだ終わっていない私の真横まで来た。
あなた「?」
机に手をつくと、かがんで私と目線を合わせる。
もう片方の手で眼鏡を外して、そのまま私の髪を掬った。
あなた「っ、なに…………」
チュゥ…………
あなた「~っ!!?」
ガタタッ
音駒との別れ際に黒尾さんがしてきたように、頬に唇を当てられた。
衝動的に距離をとる。
あなた「なっ…………なっ、」
動揺する私を見ながら、眼鏡をかけてグイッと口を拭う。
月島「そんな無防備だからあんなことされるんでしょ」
あなた「あんなことっ、て……」
月島「しかも裸見た仲ってなに。音駒に行ってそういうコトに励んでたの?」
質問攻めしながら壁まで追いやられる。
……なになになに!?
いつもの意地悪??
でも
……どうして月島くん、哀しそうな顔するの?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!