ピッ
なんか、公式戦では久々な気がする。
ドゴッ
徹くんの、強烈サーブ。
また1点加算されて、青城は大盛り上がりだ。
もう涙なんか止まって、皆で上から観る。
東峰「これで4本連続サービスエース……」
烏養「威力は言うまでもねぇけど、あのコントロールもえげつねぇなぁ……」
ため息をつく烏養コーチ。
日向「でも、あのサーブさえ何とかすれば……」
あなた「いや」
菅原「確かにサーブも怖いけど、セッターとしての及川は俺達にとって完全に未知だ……」
単にサーブがすごいだけなら、ベスト4になんて残るはずがない。
岩泉「もう1本ナイサー!!」
ピッ
やっぱり、敵だとしても徹くんの出す音は、爽快だ。
「すまんっ」
「チャンスボール!」
あなた「っ!!」
思わず立ち上がって、手すりに寄りかかった。
日向「?あなた……??どうし」
あなた「っお兄ちゃんいけぇぇ!!」
烏野「……!?」
ドゴゴッ
ピッ
あなた「~っ、ナイスk………………」
やばい。
やらかした。
私今、烏野として観に来てるんだった……。
恐る恐る振り替えると、苦い笑顔を作っている皆。
あなた「ご、ごめんなさ」
烏養「……いいよいいよ。存分に応援しな」
両手をヒラヒラさせたコーチにお辞儀をして、お言葉に甘えることにした。
菅原「なんつーか、すげぇ滑かな連携だな……」
影山「及川さんと、岩泉さん……あなたの兄貴は、小学校クラブチームから一緒らしいです。阿吽の呼吸……ってやつです」
あなた「コーチ……すみません」
烏養「なんだ?」
あなた「私…………青城の弱点も、対策も、なにも思い付かない……こうして見てて改めて、穴のない完成したチームなんだって、思わされます……」
伊達工の対策や戦略は多少ながら練ることができた。
それでも今の私には、青城への勝ち筋がどうしても見えない……。
烏養「チームの100%の力を引き出せるセッターか……」
どうしよう……。
空気が沈んでしまった。
日向「大王さまかっけぇぇ!早く試合したい!」
あなた「っ……」
西谷「おう!サーブ俺狙ってくんねぇかなぁ、とりてぇ!」
日向「ノヤっさんもかっけぇ!!」
烏養「頼もしいなぁ」
日向と西谷先輩に、救われた。
試合は金田一のスパイクで25点目が決まり、青城のストレート勝ちで終わった。
体育館を出て、荷物を集める。
?「あなたっ」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。