第108話

‥それって‥
48,391
2020/03/24 08:20
西谷「それと……」




あなた「?」



西谷先輩は首の後ろをポリポリと掻いて、気まずそうに言った。




西谷「負けたら、今朝のあいつとデートする、って、マジ……?」













あ。


ヤバイすっかり忘れてた……。




あなた「って、しませんよ!?デートなんて!絶対!!てか烏野負けませんしそれにっ__」


ついつい熱くなって饒舌になる私をみて、先輩は少し笑った。


西谷「……そっか!なんか俺、その話聞いてからここんとこがずっとモヤモヤしててさぁ」


胸に手を押し当てて、元気に笑った。


西谷「なんでか分からんけど今のこと聞いたらスッキリしたわ!サンキュー!」




胸が、モヤモヤ??




それってまさか……。




西谷「?あなたどうした」

あなた「っ、いえ!なんでも……」

西谷「大丈夫、負けねぇから。そのリストバンド着けて、俺を信じとけよっ!」


そう言って、グッと握った拳をつきだした。


あなた「っ、はい!」






何だか今日は、やっぱりいい日みたいだ。



日向を探しに戻っていった西谷先輩の背中を見送ってから、ジュースを買う前にお手洗いに行こうと反対方向へ歩きだした。




ドンッ



あなた「へぶぅっ」


角を曲がったところで誰かにぶつかった。


あなた「っ、すみません!」

慌てて頭を下げる。


?「いえ、こちらこそ……って、二口の彼女!!?」




……え?



よく見ると、今朝の伊達工の人だった。


あなた「……えと」

?「あぁごめん。俺は主将の茂庭要モニワ カナメです」

丁寧に挨拶をしてくれた。


あなた「あ、ども……。岩泉あなたです__って、私は彼女じゃなくて」


訂正しようとしたところへ、頭をガシッと捕まれた。


二口「先輩ぃ、何人の彼女に絡んでんすかぁ」

あなた「だから彼女じゃないでしょうが!」

?「おーい茂庭……あ!二口の彼女!?」




だーかーらー……。



後ろで大笑いする堅治のお腹に肘打ちを食らわしてから、懇切丁寧に訂正した。


鎌先「なんだやっぱりそうか!!二口に彼女なんてあるわけねぇよなぁ!」


がはははっと笑う鎌先さんとは、なんだか馬が合いそうだ……。


二口「筋肉のことしか考えてない鎌先さんには言われたくねぇす」

鎌先「あんだとおぉ!?」




二口「それと、あなたさぁ」



振り返って、挑発的な顔で私と目線を合わせた。

プリ小説オーディオドラマ