合宿はその後、日向をベンチに下げて試合が続き次回の長期合宿を控えて終了した。
武田「明日はお伝えしていた通り、体育館に点検作業が入るので、部活はお休みです。このところ休みなしでしたので、ゆっくり休んでくださいっ」
烏養「それと、このあとあなたは俺んとこ来い」
さていいお知らせなのでしょうか悪いお知らせなのでしょうか?
……怖い。
解散してからコーチのところへ行くと、武田先生と2人少し申し訳なさそうな顔をして私に手を合わせた。
烏養「すまんっ!」
武田「すみません!!」
あなた「……へっ!?な、なんですか!!?」
何か怒られるかと思って身構えていたのに、真逆の対応に驚いた。
烏養「結論から言うとだな、俺らの手違いで何もできてないんだが……。こういうものがあるんだと知ってほしくてな」
鞄から少しシワになった紙を取り出して差し出してきたので受け取って開くと、『アナリスト育成セミナー』と大きく書かれていた。
武田「もっと早く意思の確認をしようと思ったのですが、上限の30人に達してしまったらしく……すみません」
烏養「しかも今回は、実際に全日本で活躍しているアナリストが講師に来てくれるそうだからな、絶対行くべきだと思ったんだが……」
あなた「……あ、あの、ですね」
武田「本当にすみませんっ!僕の責任です!夜までお酒に付き合ってばかりで……」
烏養「何言ってんだ先生!俺の責任だ!!」
あなた「あ、あの……」
ん?話聞かないぞこの人たち。
武田「ただこのセミナーは、1週間以上あるのでホテルなどをとるのも経済的に厳しくてですね、部費を出していいかという取り合いに時間がかかってしまって……」
あなた「や、だからですね……」
ちょ、いい加減……。
烏養「まぁあれだ!知れただけでよしとす____」
あなた「______1回話聞いてもらえますか?」
烏養&武田「っ!!……す、すみません」
渡された用紙をもう1度見て、顔を上げた。
あなた「合宿終わったら言おうと思ってたんですけど……」
武田「??」
あなた「私、このセミナー個人的に申し込んでます」
烏養「っ!!!?」
武田「えっ、つまり……」
あなた「次回の遠征後すぐから1週間ちょっと、部活お休みさせてください!」
頭を下げると、2人はわぁっと盛り上がった。
おし。帰るか。
コーチと先生に挨拶をしてから鞄を持ち直す。
……カゲくんは?
ま、いっか。歩いとこ。
ドンッ
?「っ!!助けてぇ!!!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。