第413話

それくれないの?
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2020/07/26 05:26
3年の展示を一通り見終えて外に出た。




菅原「一部屋一部屋写真スポットあるのいいなぁ。女子は喜びそう」


縁下「予算を考えると、やっぱり各階に2つ程の設置になりそうですね……」




実行委員らしい話をしている2人の間に挟まれて、黒尾さんのことを考えていた。


何、話すんだろう……。




元々午後からは別行動でめぼしいところを探すことになっていたし、会って話すのも構わないんだけど……。



前あんなことあったからなぁ。





菅原「あ、お腹すかねぇ?屋台行こうぜっ」





漂ってくるソースの香りに鼻をひくつかせて、お腹と相談しながら物色する。





あなた「あ、私2組のアイスキャンディー買ってきます!」



縁下「俺は5組でたこ焼き買ってきます。2人も買って来ましょうか?」



菅原「俺焼きそばにすんべ!」



あなた「あっ、じゃあたこ焼きお願いします!」





一旦別れて屋台へ向かった。




「らっしゃいませ!」


あなた「苺のアイスキャンディーくださいっ」



「まいど!」





売れ行きは好調のようで、ボックスの中の苺のアイスキャンディーはもう残り数本だった。


危ない危ない……。




口に含むと甘酸っぱい風味が広がって、長時間の移動の辛さを和らげてくれた。




……2人ってどこ行ったんだっけ。





口に加えたまま鞄を探って、案内図を出す。





「え〜なになに彼女っ、今1人〜?」

「誰だよ東京ギャルばっかっつったの!正統派美女いるじゃねぇかぁ〜」
  
「ねっ、どこ行くの?俺らと遊ぼ!」



あなた「んむっ、」


 

加えたままで言葉を発せられないので、鞄を閉じて急いで掛け直す。




「おいしそ〜俺にもちょーだいよ!」

「どこで買ったの?ちょっと案内して!」




金髪ピアス…………照島さんかて。



  
あなた「!」



「えっまじぃ?ありがと〜」




腕を掴んできたので反抗すると、聞き間違いもいいとこだ。



蹴ってやろうか……。






あなた「________んむっ、!?」

 



途端、口に咥えていたアイスキャンディーが誰かに取られて。






とりあえず口が空いたので抵抗しようと開けると、私の手を掴んでいる金髪の人の首に回る腕。






?「俺が案内してやる!ほらほらいこうぜっへいへいへ〜い!!」




……見なくても誰か分かる。





「なっ、んだよおま______っ、でか……!」




木兎さんに尻込みしたその人たちは何事もなかったかのようにペコペコしながらどこかに行ってしまった。




?「はい、咥えたまま歩くと危ないでしょ」



横からすっとアイスキャンディーを差し出してくれたのは、よく知っている木兎さんの相棒。



そしてその隣にちょこんと立つプリン頭。





あなた「京治くん…………、っ、研磨くんも!」



木兎「俺は!?」



あなた「と、木兎さん……なんで、」






……あ、そうか。


ここ東京だからか。




渡された溶けかけのアイスキャンディーを口に含んで、垂れそうになっていた蜜を舐めとった。





赤葦「最近、会うといつも絡まれてるけど……防犯ブザー持っておいたほうがいいんじゃない?」



あなた「……真顔で面白い事言うね」



赤葦「ウケ狙いじゃなくて……」



研磨「あなた……」





京治くんの天然に失笑していると、裾を引っ張る研磨くん。





あなた「……?」


研磨「……くるとか聞いてない」




あ。



 
あなた「ごめん、音駒広いから会わないかもって思って……」




答えるとムスッと口を尖らせて、「それくれたら許す」とアイスキャンディーを指さした。




あなた「?欲しいの?」




目をキラキラさせて頷くので、2組の屋台を指さした。




あなた「あそこで売ってるよ〜急がないと苺あとちょっとしかなかった!」


研磨「……それくれないの?」


あなた「?多い方がいいでしょ食べるならっ。一緒に買いに行く?」


研磨「……やっぱりいい」




あれ?また急に機嫌が悪く……。




木兎「あなた!!黒尾のクラス行こうぜ〜っ!あいつ「絶対来んな」っつってたから!」


あなた「文脈おかしくないですか?あと私さっき行きました」

 
赤葦「ほら木兎さん……また黒尾さんに怒られますよ。とりあえず昼ごはん食べましょう」 






相変わらずの暴れ馬を手懐けるのはやっぱり京治くんしかいないな。






菅原先輩達が合流して、皆で昼ごはんを食べることになった。

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