椋樺「バレー部辞めてよ」
まぁ、想像通り。
あなた「え?どうして?」
またニコッとして聞き返すと、今度はチッと舌を鳴らした。
サオリ「目障りなの!!大して可愛くもないくせに!月島くんと付き合えて調子乗ってんの??」
声を荒げて首元を掴んできた。
笑顔を崩さずにその手首を握る。
こちとら伊達に岩泉家の隠れ般若やってないんだよ。
ググッ
力ずくでその手を下ろしながら訂正。
あなた「別に付き合ってはないんだけど」
サオリ「っ、痛い!離してよ!!」
え、掴んできておいてそれはないんじゃないの?
椋樺「付き合ってても付き合ってなくても、あんたは退部して」
腕を組んで胸を張る。
この世の全てが自分の思い通りになるとでも思っているのだろうか。
あなた「え、いや、だからなんで?」
そろそろ笑顔にも疲れてきた……。
リオ「月島くんだけじゃない!影山くんも、菅原先輩にも近づいて______このビッチ!!」
菅原先輩はまだしもそこにカゲくんが入ってることに思わず失笑した。
崩れそうになった笑顔を元に戻してくれた。
あなた「そっかぁ~。でも私退部はしないよ?」
幼稚園児をあやすような反応をとると、3人仲良く顔をひきつらせた。
椋樺「あんたがするしないじゃないの。私が辞めてって言ってるんだから辞めなさいよ。じゃないともっといじめ酷くなるけど?」
目の前の自己中心女はこれで脅しているつもりなのかというくらいに声を震わせた。
あなた「今朝いじめ1号を盛大に失敗しておいてすごい自信だねっ」
クスクスすると、予想通り酷く怒った。
リオ「あんたほんとに調子乗んなよ?」
サオリ「ノートまんまと盗られたくせに」
あなた「あ、ノートか。うん、あれは困るっ。返してくれない?」
椋樺「そんなこと言われて返すわけないでしょ。もう捨てたわよあんなの」
なんてこった。
って、そんな嘘通じない通じないっ。
あなた「あ、月島くん________」
「「「!!?」」」
3人の後ろを指差すと、勢いよく私に背を向けた。
パシッ
リオ「あっ!」
月島くんが居ないことに気がついたみたいだけど、その隙にリオが後ろに持っていた私のノートを取り返した。
椋樺「ちょっ……なに盗られてんのよ!!」
リオ「だ、だって月島くんが居るって言うから……」
睨まれたのでここら辺で退散することにした。
あなた「じゃあ、ノート届けに来てくれてどうもありがとねっ」
手を振って帰ろうとすると、「待ちなさいよ!!」と呼び止められる。
椋樺「絶対……あんたの方から「退部するのでいじめやめてください」って言わせてやる!」
あなた「そっか!頑張ってっ」
拳を作って今日1番の笑顔を向けるとまた怒っているようだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!