ピピピピッ‥ピピピピッ‥‥
あなた「ん……ぅ」
もう朝か……。
昨日は部活にも参加させてもらって、夜間バレーにもついて行かせて貰って……盛りだくさんだったからなぁ。
ピピピピッ‥ピピピピッ‥‥
止めないと……って、あれ?私、スマホの目覚ましのはずなのに……こんな電子音______
あなた「っ!」
手探りで探し当てた目覚まし時計を止めようとした瞬間、違和感に気がついた。
と同時に、暖かい物に触れる指先。
私と同じく、"誰かが"目覚まし時計を止めようとしたのだ。
のびた腕を辿って視線を移す。
あなた「_________っ治さん!?」
なんっ、なんで、なんでここに……!?
1人用にしては少し広めのベッドに、私と治さんの2人。
治さんは目をうっすらと開けて、ぱちぱちと瞼を動かした。
治「………………っ!?自分、なんでここおるん!?」
え、めっちゃこっちの台詞なんだけど……。
あなた「っ、ちょ、とりあえず足退けて下さい……」
治「足……?」
治さんの足は私の太ももの上に乗っかり、ガッチリと固定されている。
さっきから起き上がろうにも起き上がれない。
治「…………ちょお待って」
あなた「ぅわっ、」
治さんの足が浮いたので起き上がろうとしたけど、再度ガッチリと捕まってしまった。
あなた「なっ、なんで……?」
治「……もぉちょい居ぃや」
……寝ぼけてる?
侑さんみたく、彼女さんと間違えているんだろうか。
あなた「あの……私あなたですよ?」
治「知っとるけど」
何そんなことを今さら……と言わんばかりに目をしかめて、「ちょお、こっち」と首の後ろに手を回した。
ポスンッ
ギュ……ゥ
あなた「!!!!?~治、さん……?」
治「なんかよぉ寝れた思うたわ。自分、抱き心地えぇな」
あなた「ちょ、何冷静に解析してるんですか!」
治「ふ……」
思わず突っ込むと、肩を揺らして笑う。
なんか…………おっきい。
治「……夜中んトイレ行ってな」
あなた「……?」
私を抱いたまま、話始めた。
治「いつもの癖で自分の部屋入ったんや、多分目覚ましもそん時やったんやろな」
あなた「あぁ……。すみません、部屋貸して頂いて……」
治「ええんよ、侑の部屋やと寝相わるぅて敵わん」
あなた「ふふっ。……あの、そろそろ」
治「部屋代や」
あなた「え?」
胸板に手を押し当てて離れようとすると、瞑っていた目を開けてまたギュっと寄せられる。
治「ここん部屋使う代わり、今は黙って抱き枕になっとり……」
いやいやいやいやいや、こんなん寝れるわけないでしょうが!!
あなた「ちょ…………っ、抱き枕以外ならなんでもしますからぁぁっ」
治「あかん。……動くなや」
あなた「__________ご飯作りませんよ?」
治「ほな起きよか、今日もええ朝やなぁ」
宮兄弟の弱点。(寝ぼけて抱きつかれた時)
侑さん‥頭突き
治さん‥ご飯を使った脅し
今日も1日頑張ろう!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。