ファン1、2、3「及川くぅーん!がんばってぇ~!!」
アップを見ていると、ギャラリーからの女の子の声。
あぁ、徹くんファンか。
ファン2「昨日のテレビの子誰ぇぇ!!?」
……やだな、上がりたくないなぁ。
田中「負けてたまるかいくぜぇっ!!!」
西谷&日向「しゃあぁぁぁっ!!」
まぁ、こっちの指揮は高まってるし、いいかな。
松川「すみませ~ん」
飛んできたボールを取ると、すぐに松川くんが駆け寄ってきた。
あなた「どぞっ」
笑顔で渡すと、少し気まずそうに頬を掻く。
松川「あ……ありがと。昨日、ごめんね?」
あなた「昨日しっかり徹くんにお説教しといたから!気にしないでっ」
松川「そっか……!あのさ、あなたちゃ」
西谷「あなたっ!!」
何か言おうとした松川くんだったけど、遮られたことで「やっぱいいや」と去っていった。
すぐに振り替えって返事をすると、西谷先輩はニカッと笑って「腕だして!」と言う。
言われるまま出すと、先輩の手が触れた。
あなた「~っ、…………あ、」
リストバンド。
西谷「今日も着けといて!応援しっかり頼むぜ!!」
グッと親指をたてて笑う姿は、いつかのヒマワリみたいですごく嬉しかった。
あなた「はい!」
このやりとりが、なんだか2人だけのものみたいで幸せで、とても心が癒された。
あなた「こんにちはっ。お仕事お休みして……ありがとうございます!」
嶋田「おうおつかれ!」
ギャラリーに行くと、昨日同様滝ノ上さんと嶋田さんが応援に来てくれていた。
その奥の方にいる徹くんファンに見つからないように、そのまま横に並んだ。
ファン「せーのっ、及川先輩!がんばっt」
澤村「烏野ぉぉぉ!!ふぁいっ!」
東峰「おぉっ!!」
澤村「ふぁいっ!」
田中「とらぁっ!!」
澤村「ふぁいっ!」
西谷「そぉぉいっ!!!」
澤村「ふぁいっ!」
日向「うぁぁいっ!!」
掛け声と共にスパイク練をする皆を見ながら私も小さく掛け声をした。
嶋田「気合い充分だねぇ」
滝ノ上「あぁ、そういえばお前の弟子、サーブ上手くなったか?」
あなた「……弟子?」
嶋田「弟子って…………忠だよ。1週間前ジャンプフローターサーブ教えてくれってやって来てな……まぐれ当たりはあっても、狙って無回転打てるにはまだまだだろ」
山口くんが……。
そういえば、練習終わりに月島くんと帰ってなかった。
珍しいと思ってたけどそういうことだったんだ……。
及川「岩ちゃ~んちょっと力んでなぁい?いいとこ見せようとしなくていいんだよっ。女の子は誰も岩ちゃんなんて見てないからっね」
……なんか徹くんがお兄ちゃんバカにしてる気がする。
あなた「私は見てるよお兄ちゃんんんん!!!!」
岩泉「だぁっ!恥ずかしいからやめろ!!」
及川「あなたは及川サンを見てたらいいんだよ~?」
あなた「誰が見るかぁぁあああ……」
またやってしまった……。
ファン3「ね、ねぇあの子、昨日及川くんとテレビに映ってた……」
ファン1「ほんとだ!でも青城のジャージ着てなくない??」
大人しくしとくことにします……。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!