第184話

‥厄介‥
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2020/04/04 11:18
黒尾「厄介……?」

赤葦「烏野の9番10番が参戦してから、明らかに攻撃に幅が出てました」

木兎「あの攻撃意味わかんねぇよなぁ」

赤葦「でもそれだけじゃない。お2人も気付きましたよね?あのあなたって子……今日半日ずっと黙って試合を凝視していました。それこそ、研磨が普段試合中にするように……いや、それよりもっと高密度に」


……確かに、前の合宿の時にもあったな。


あいつにはバレーを見る目がある。


前はまぁまぁ荒削りで自信なさげだったけど、今日の試合中ずっと嫌な気分だった。

敵にしたくないと思った。


木兎「言ってたなぁ強羅や小鹿野。「あの子に試合見られるのが嫌だ」って」


木兎の言葉に頷いた赤葦は、再度俺を見た。


赤葦「あの子……何者なんですか?」

黒尾「…………さぁな。とにかく、」



正直、俺にも分かんねぇ。


この短期間であんなに変わるものなのか?


なにか大きなことがあいつに起こったのか?


あいつに「見る」才能があるのは知っていたけど、それが開花しそうになっていると思うと……。




黒尾「……いやだねぇ」





あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°



リエーフ「ごほぅぉっ!」

あなた「ほらもう!打ってって言ったのリエーフくんでしょ!?さっさと立つ!!」



ボールを打つことに関しては自信があったし、お願いされてレシーブ練に付き合うと始めてすぐリエーフくんの顔はみるみるひきつっていった。


夜久「ぷぷっ……リエーフ女子に負けてんぞ!」

リエーフ「うるさいですよもうっ!!」


しこたま練習してから、そろそろ夜ご飯を食べに行こうとネットを片付けた。




あなた「そういえば、ご飯って誰が作ってくれるんですか?」

夜久「食堂のおばちゃん的な人だな」


3人で外を歩きながら食堂に行く。

もうすっかり日が沈んで、月明かりが足元を照らしている。



夜久「美味しいけど、俺はあなたの飯が食いてぇ」


あなた「っ!」


夜久さんって、素でこういうこと言っちゃうんだもんなぁ。


リエーフ「あなた、飯作るのうまいのか!?」


リエーフくんが食い気味で聞いてきて、夜久さんが答えた。


夜久「上手いなんてもんじゃねぇぞ。それで食っていけるレベルっ」

あなた「そんなっ、褒めすぎです……」


素直に照れてしまって、熱くなった頬を仰いだ。


リエーフ「俺も食いたいなぁ……あっ、黒尾さんたちだ!一緒に飯行きましょうよ~っ」


第3体育館から出てきたのは、何か言い合いをしている黒尾さんと木兎さん、それを真顔で見ている赤葦さんだった。

こっちに気がつくとすぐに向こうも手を振る。


木兎「おぉっし!あなた!!行くぞ!」

あなた「ふぇっ」


ガシッと肩に手を回された。

この人のパーソナルスペースどうなってんだ……。



黒尾「あなた~」


木兎さんに苦笑していると、黒尾さんが目の前に立った。


黒尾「今日の約束、やっぱいいから」


あなた「……?はい」


そういえば、研磨くんもそう言ってたような。


2人、何か話したのかな?

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