お弁当の入った鞄に手を添えて、衝撃に耐えようと身を強ばらせた。
治「っ、」
侑「あなたっ!」
ポスッ……
……。
……あれ??
痛くない……。
一瞬のことで、事態の把握に時間がかかった。
誰かに支えられていることが分かって、すぐに重心を戻す。
?「…………大丈夫?」
あなた「……」
支えてくれた人より先に鞄の安全を確認した私は、声をかけられてやっと顔を上げた。
あなた「___________倫くんっ!?」
角名「……平気?」
さっきまで、下にいたのに……。
そんな私の同様を悟ってか、立ち上がって手を差し伸べながら言った。
角名「絡まれてたから、助けに行こうかと思って」
あなた「、ありがとうございます」
頭を下げると、「うん」と笑って先導をきってくれた。
……あれ?
倫くん、いつ私に気づいたんだろう。
侑𝓈𝒾𝒹𝑒.°
角名……。
あいつまたいつの間ぁに。
せやけど、怪我がのぉてよかった。
北「怪我ないな?」
下に降りてきたあなたに、北さんが声をかける。
せやけどこない北さんに好かれるとかほんま……。
治「あなた_________」
角名「_________3組の宇枝」
侑「!」
治と2人で駆け寄ろうとしたら、角名がボソッと、そう言葉を置いて行った。
……角名。
治「(……3組)」
侑「(宇枝…………か)」
どこの誰や知らんけど、あなたに手ぇ……足出したんは、間違いやったな。
治&侑「(_______しばき倒したるわ)」
あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°
午前中は普通の練習で、とりあえずこの間と同じようにドリンクやタオルの用意に勤しんだ。
黒須監督に挨拶をすると、寛大に受け入れてくれた。
練習が終わりお昼御飯。
部室だと暑すぎて自殺行為だと言われて、外で円になって食べることになった。
あなた「はい、お弁当」
侑「おおきに~」
治「いただきますっ(パクパク)」
治さんがものすごいスピードで食べ始めたのを見て笑って、侑さんと私もお弁当を開けた。
北「せや、治も侑も、よぉあの人数の中からてんとう虫ちゃん見つけたなぁ」
あ、呼び方はもうそれなのね。
侑「悔しいけんど……先見つけたんはサムや」
侑さんはタコさんウインナーをもきゅもきゅ食べながら目を伏せた。
あなた「まぁ……連絡したし___っ、ふむぐっ、」
宥めようかと、治さんには着いたことを連絡してギャラリーに居ることも伝えたと言おうとすると、隣の治さんは勢いよく私の口を塞いだ。
侑「_________"連絡"ぅ?……サム、自分いつの間ぁにあなたと連絡先交換したんや」
治「…………はぁ。今朝や」
明らかに不機嫌になった侑さん。
治さんはため息をついて、投げ捨てるように答えた。
侑さんはゴソゴソと携帯を取り出す。
侑「あなたっ、俺とも交換や」
……どれだけ治さんと張り合ってるの。
「はい」と、こちらも携帯を出そうとした時。
あなた「……」
そうだ……。
侑「?どないしt________」
あなた「私、侑さんとは交換できない」
侑「………………………………は?」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!