第122話

‥3日目‥
48,153
2020/04/24 12:21
ピッ……ピーーーーーッ



31対33。






烏野は負けた。




日向の渾身の一撃は3枚ブロックに叩き落とされ、拾いに入ったカゲくん、東峰先輩、西谷先輩の手は、ボールに届かず床を擦った。
 



盛り上がる会場、目の前の応援団はガッツポーズを作り心底喜んでいる。


ひたすら叫ぶ徹くんファン。



なだれる選手と共に、ギャラリーで膝をついた。




あなた「負けた……



小さく言葉にして改めて敗北を実感し、左にはめたリストバンドごと手首を掴んで涙を止めた。


スタンドに挨拶に来た皆に、泣いてる顔を見せたくない。



滝ノ上「あなたちゃん、挨拶来るぞ」


声をかけられて、唇を噛み締めながら立ち上がった。

澤村「整列!ありがとうございました!!」


烏野「ありがとうございましたっ」




会場からは惜しみない拍手が送られて、肩を震わせる日向たちの姿が私の涙を助長した。



嶋田「おつかれっ」

滝ノ上「いい試合だった!」



澤村「___集合っ!」



下を向いてコーチの方へ戻る皆の後ろ姿を見ながら、胸が張り裂けそうだった。



体育館から出てきた皆の後ろを、黙って歩いた。


外でクールダウンをしてから、会場をあとにした。



コーチの奢りで連れていってもらったご飯を、皆泣きながら食べた。




【翌日】






真綾「?月島くん山口くん、あなた一緒じゃないの?」

山口「今日は朝練休みだから教室にいると思ったけど……休みかな?」

月島「体調悪そうには見えなかったけど」

綾乃「じゃあ……どこ?」







……うん、怒られるよね。


サボりみたいなもんだもんね。


テスト近いしね。


中間テスト下位だったしね。




だって気になるんだもん。





はい。


岩泉あなた、3日連続試合観戦です。



さっきお兄ちゃんに怒られました。



徹くんにめっちゃ笑われました。



松川くんたちに呆れた顔されました。



でも監督とコーチなぜかちょっと嬉しそうでした。




あぁ、多分帰ったらもっと怒られるな……。



決勝。


青葉城西VS白鳥沢。




ドゴゴゴゴゴッ




第2セット、23対25。





白鳥沢のストレート勝ちで試合は幕を閉じた。






……あれ、私なんで。




観戦を終えてから家に帰ろうと思ったのに、自然と体育館に足を運んでいた。




今日は部活休みだし、誰も居るはずないのに……。




?「あぶなぁぁぁい!!!!」




あなた「っ!!?」

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