第309話

‥ファンクラブ、始動!!‥
37,279
2020/05/08 23:59
<ごほん……それでは、on your mark……set>



……パァァンッ!!




構えていてもビクッと肩を震わせてしまうような大きな音と共に、1番に飛び出したのは田中先輩。



田中「うぉぉぉぉぉぉ!!」



少しで遅れた西谷先輩が、すぐに追い付いた。



さくら「すっご……あの2人ぶっちぎりじゃん……」




<さぁ今年もやって参りましたバレー部対決!!昨年悔しい結果に終わった田中くん!今年は意気込んでおります!!>



実況役の生徒会長が前のめりに観戦しながらマイクを通して解説をする。



口振りから、昨年は西谷先輩が勝ったんだと分かった。




西谷「うおおぉぉぉぉぉっ!!!」


田中「あがぁぁぁぁぁっ!!」



横に並んでお互いを睨みながら、先にフィニッシュをきったのは西谷先輩。


初っ端から大盛り上がりの100メートル走で、体育祭は幕開けした。



40人41脚は、予行練習通り私達のクラスが圧倒的タイムで首位をキープ。


続く3年生の学年種目、綱引きでは決勝で旭先輩のいる3組と澤村先輩達の4組が当たり、流石のパワーに敗北した。




真綾「なにあれっ、いいの?5年留年してるんでしょ??」



真顔でそんなことを言い出す真綾に苦笑して、午前の部最終種目のブロック対抗リレーの準備のために体をならすことにした。






アキレス腱を伸ばしながら女子の棒とり合戦を観戦していると、お兄ちゃん達がやってきた。



岩泉「あなた、いつ出るんだ?」


あなた「3つ後のブロック対抗!」



もう、「なんで来てるの!!」って言うのも効果のないことを知っているので普通に相手をすることにした。



及川「いやぁ~大変大変っ、女の子達が写真撮ってくれってさぁ~困っちゃうっ」


あなた「あー、うん」


及川「ここにきて反応薄すぎない!?」




いや逆になんて反応すればいいの……?



岩泉「おい、紐ほどけてるぞ」


あなた「んぁ?……あ、ほんとだ」



後ろに伸ばしていた足を持ち上げて確認すると、「結んでやる」とお兄ちゃんがしゃがんだ。



自分で結べるのに……。



まぁ折角なのでお言葉に甘えて結んでもらいながら棒とり合戦の成り行きを見守る。



女の戦い……。



予行通り熾烈な争いが繰り広げられているのかと思いきや、なんだか……。





「きゃぁぁっ、いったぁ~い」


ドカッ



「きゃ~っ、うふふっ」



ギギギ……




行動と言葉が噛み合ってないように思えるけど、さっきからこっちをチラチラ見てるのは気のせいじゃないよね?



及川「おぉ~。烏野って可愛い子多いんだねっ」



……あんたのせいだよあんたの……。




岩泉「おし。結べたぞ」


あなた「ありがとー」




?「あっ、……あの!!」







お礼を言いながらそろそろ皆のところに戻ろうかと考えていると、知らない顔の男の子2人組が話しかけてきた。







?「俺、渡瀬歩っていうんですけど……」




あなた「……?はい……」








誰……?

プリ小説オーディオドラマ