治「ぅんまぁっ、ほんま信じられへんくらい美味いわぁ」
あなた「よかったです……」
この人……今何杯目??
明日の朝御飯にも作りおきできそうだと思ったのに、もうあと2人分くらいしか残ってない。
侑「よぉ食うやろ。サムの腹ブラックホールやからなぁ」
……にしても食べ過ぎでしょ。心配になるわ。
侑「サム、その辺にしとき。この後運動すんやし」
あなた「…………運動?」
この時間から……?
治「夜間や」
お皿に残ったご飯粒をたいらげてから両手を合わせてそう言い、「ごっそさん」と頭を下げた。
あなた「夜間……?」
侑「夜間バレー。…?これ関西弁とちゃうやろ?」
……夜間バレー…………!
侑𝓈𝒾𝒹𝑒.°
なんや、目ぇキラッキラさせて……。
犬か、子犬なんかワレは。
まさか……。
侑「……一緒に、行きたいんか?」
あなた「っ!…………い……行きたいっ!」
再度目を輝かせて、ズイッと詰めよって来よった。
侑「…………」
これは…………“どっち”や……?
治「ええんちゃう?」
答えあぐねる俺に、治が珍しく食器を片付けながら言った。
侑「……」
あなた「……すみません、迷惑ですよね……」
あからさまにしょぼんと肩を落とした。
っああもう!
侑「しゃあないわもうっ、勝手について来ぃ!」
あなた「っ!~っ、ありがとうございます!!」
「着替えてきますね!」と浮き足だって、2階に上っていった。
侑「……なんのつもりや、サム?」
治「これで分かるんちゃう?“どっち”なんか」
あぁ、ね。
サムらしいわほんま。
あの子には悪いけど、確かめさせてもらおか。
あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°
バレー……。
バレーだバレーだっ!!
烏野の皆のバレーを見ることができなくなって、正直不足気味だった。
一種の中毒症状か何かだろうか。
セミナーでも、あってもプロジェクターで試合を映す程度だし物足りない感じがあった。
あなた「ふんふふ~んっ……!」
制服からTシャツと短パンに履き替えて、リビングに降りた。
侑「ほな行くで。市民体育館やけぇ歩いてすぐや」
あなた「ぁす!!」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。