彼女side
今日は7月7日。七夕。
お願い事、短冊に書いて笹につるす。
町がざわめくビッグイベントだ。
1年に1回。しかも晴れた日だけ、せつないけれど、どこか美しい恋愛。
きれいな天の川の上で織姫と彦星が会うらしい。
現代でいう「遠距離恋愛」
こんなことを言ってるけれど私も他人事じゃない。
私は3つ上の彼氏と付き合っている。
そんな彼は、遠くに出張に出ている。
会えるのは3ヶ月に1回。
寂しがりやの私には、無理難題だとも言えるけれど、彼のことが大好きだから
いい子して彼の帰りを待っている。
彼の仕事が忙しくて、4ヶ月は帰ってきてない。
七夕くらいは一緒にいたかったのに、
カキカキ
短冊は小さい頃、家にあった小さい笹につるした。
ふと、ベランダを見ると、きれいな夜空が広がっていた。
「叶うんじゃない?」
時が止まったように感じた。
聞き覚えのある声。
暗闇ではっきり見えないが、うっすら見えるシルエット。
「お待たせ」
私の会いたい人。
今、誰よりも__、
会いたい、
「うん。全然会えなかったけれど、今日はどうしても帰ってきたくて。
上がってもいい?」
「ただいま~」
「あ、短冊書いてる」
「じゃぁ、書いていこうかな」
「ありがと」
「ねぇ、 の願いごと見てもいい?」
「なんでぇ~、」
「まぁ、嫌がるんだったら見ないよ」
「はいはい、待ってね。大丈夫、大丈夫願いごとはもう決まってるから」
「さっき自分は、願いごとが叶わないどうこう言ってたくせに、俺のは、見たがるんだ。」
「wwいいじゃんお互い秘密で」
「書けた」
「りょうかーい」
「できた、と」
「はい、これ、」
「大丈夫、仕事休みもらったから」
カシュップシュー(お酒を開ける音)
「はい、カンパーイ」
「ん~んっま、久しぶりはやっぱ美味いわ」
「仕事があったから、飲めなくて」
「そっちだって」
「違う、ずっと俺の帰りを待ってくれてるんでしょ、
ごめんな、お前が寂しいがりやなの知ってるんだけど、どうしても…」
「我慢しなくてもいいんだよ」
「いいよ」
「どしたの?」
「ほんとだ、きれい」
「ふふっ、可愛い」
「だって、無邪気星見てるの可愛いなって、素直に思ったから」
「そんな、ところも好き、」
「じゃ、俺は大好き」
「俺は、愛してる」
「 は俺のこと愛してる?」
「うん、じゃなくてちゃんと言って」
「ふふっ、」
織姫はなぜ彦星と別れなかったんだろうって、何度も思ったけれどやっと分かった、
織姫は知っていたんだ、
久しぶりに会う恋人と会う思いは、普段会うより何倍もうれしいことを。
そして、何より離れていても「好き」という感情はどんなに遠く離れていても薄れないことを。
叶ったよ、私に願い___、
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| そ |
| し |
| て と |
| 会 |
| 今 え |
| 日 ま |
| く す |
| ら よ |
| 甘 い う |
| え は に |
| ら ゜ |
| れ |
| ま |
| す |
| よ |
| う |
| に |
| ゜ |
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。