第32話

瑠偉先輩
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2019/10/04 13:46
体育館に行くと、瑠偉先輩がいた。

「先輩……」

「あ、あなたちゃん?」


「ちょっと話があって。」


先輩はドリブルをやめて、こっち来て座る。


「で?話って何?」


「咲ちゃんのことなんですけど………」


咲ちゃんと言うと、先輩の目から涙のしずくが落ちた。


「………沙耶から聞いた?」

「はい……」



「俺さ、咲が死ぬ前の日にひどいこと言ったんだよね。」


「ひどいこと?」


「別れようって……言ったんだ。」



え……?



「俺、咲が苦しんでるの見てさ、俺のせいってわかって……別れようって言った。」


「咲ちゃんは……?」


「そうだねって……もうそんときには覚悟決めてたのかな………」



じゃあ、咲ちゃんが亡くなる前に別れてたの………?


「先輩………手紙見ました?」


「実は……見てない。」


え?


「怖くてさ。開けれないんだ。でも、いつもカバンに入れてる。」


「咲ちゃんの手紙……読んであげてください。」


「じゃあ、今から着替えるから昇降口で待ってて。」


「はい。」


瑠偉先輩……手紙、読んでないんだ………


「お待たせ。じゃあ、読もうか。」

「いいえ。まずは先輩一人で読んでください。」

「え?いや、一緒に読んでほしいんだけど。」


うーん………


「分かりました。」


先輩は手紙を取り出して、私にも見えるようにしてくれた。



”瑠偉くんへ

瑠偉くん、今までありがとう。

本当に幸せでした。

感謝してます。


私が自殺してどう思ってますか?

少しでも悲しんでてくれるんなら嬉しいです。


私は、瑠偉くんの本当の気持ちを知っています。

瑠偉くん………愛美さんのことが好きなんでしょ?


瑠偉くんは隠してるつもりかもしれないけど、わたしには分かるよ。


私が告白したときを覚えていますか?


泣きながら告白しちゃったの、覚えてる?


今、自分でも思い出すと恥ずかしいな。笑


あれから、だんだん瑠偉くんの気持ちが離れてくのが分かったの。

でも、怖かった。

それを認めるのが。


そして、別れようって言われたとき、何かホッとした。



瑠偉くん、ちゃんと愛美さんに想い、伝えてね。咲”


瑠偉くんの目からは涙が流れていた。


「あなたちゃん、ありがとう。やっと読めた。」


「いいえ。愛美先輩に……」


「伝えてくる。ありがとな。」


ここで……私の恋も終わりだね。











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