第31話

別れ
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2019/10/04 11:34
「私、中学の頃、いつも一緒だった友達がいた。咲っていうんだけど、優しい子だった…グスッ」



ここまで聞いただけでも、沙耶にとって辛い事なんじゃかいかと思う。



「沙耶、向こう行ってな?あとは、私が話すよ。」



「美織………ありがとう。」


美織は知ってるんだ……


「じゃあ、話すね。」


「うん。」



「咲ちゃんは、私も塾が同じだったから仲が良くて。色んな話も聞いてたの。

それで、咲ちゃんが彼氏ができたって話してたの。

バスケ部のキャプテン。

もう分かると思うけど……瑠偉先輩だった。」



……瑠偉先輩は沙耶の友達…咲ちゃんと付き合ってたってことだよね。



「あなたも分かると思うけど、瑠偉先輩はスゴくカッコいいから。昔もモテてたらしい。

で、色んな嫌がらせとかもあったんだろうけど、沙耶にはそんな辛いこと全く話さなかった。

咲ちゃんは一人で抱え込んでた。

それなのに、追い討ちかけるように麻美ちゃんって子が色々といじめだした。

ありもしない噂たてたり、ノートに落書きしたり。

酷いときは黒板とか机に

”死ね”

って書かれてたらしい。

そこで、沙耶は初めて咲ちゃんに対するいじめに気づいた。
でも、もう遅かった。

咲ちゃんは自殺しようとしてた。

咲ちゃんは……沙耶の目の前で死んだ。

沙耶が屋上に行ったときはまだ生きてた。

でも、飛び降りた。

沙耶は手を伸ばしたけど、届かなかった。」


自殺……


「咲ちゃんは屋上の柵のところに手紙を置いてた。

沙耶と瑠偉先輩に向けた手紙。

はい、これ。」


「え……?」


「沙耶は毎日持ち歩いてるから……私も読ませてもらった。あなたも読みな?」


「う、うん。」




”沙耶へ


今までありがとう。

私が飛び降りたのは……こんなこと言ってごめん。


でも……沙耶と瑠偉くんのためだよ。


このままだと、沙耶とか瑠偉くんとか、私の周りにいる人全員に辛い思いさせるの。

死ぬんだったら別れたほうがよかったって?

まあ、そうかもね。





でも………1番の理由は


もう私、生きるの疲れちゃったから。



沙耶、

沙耶はちゃんと生きてね。

幸せになってね。



私は、

沙耶と出会えて


幸せでした。 咲より”





「沙耶は麻美ちゃんを恨んだよ。誰よりも。でも、瑠偉先輩は普通だった。

咲ちゃんが死んでも、バスケばっかりしてて、友達とワイワイして………沙耶はそんな瑠偉先輩が許せなかった。

だから、あなたが、瑠偉先輩のことを好きって言った時、すごく沙耶は複雑だったと思う。」



そんなことがあったなんて………


「私も最初はよく理解できなかったけど、本当にあったことだから。」


「そう………だよね。」


”ガラガラ”

ドアを開けると、

沙耶は泣いていた。


「沙耶、ごめんね。」

「何であなたが謝るの………」

「何でもいいから。」


瑠偉先輩は咲ちゃんのことについてどう思ってるんだろう。



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