第9話

2年前
482
2019/10/03 04:15
中3の頃、私は幼なじみの翼に想いを伝えた。


”田中翼”


「ねー、翼!」


「あなた…何?」


「話があるんだけど。部活休み?」


「休みー。」


「じゃあ、一緒に帰ろう。」


「はいはーい。」


久々だな。

一緒に帰れるなんてめっちゃ楽しみ!


でも………それと同時に不安もある。


わたしは今日、想いを伝えると決めたのだから。


「あなた~~!見てたよ~~!」


「うん。」


私の親友の山本凛。

凛はクラスのなかでもムードメーカーの樹と付き合っている。

私の相談もいつも聞いててくれた。


「あなたなら大丈夫!!がんばって!」


「うん、ありがと!」



~放課後~


「あなた、帰ろ。」


「うん!」


普通に学校の話をしながら歩いていた。

そろそろ言わないと。



「あのね、翼……」


「ん?」


心臓が破裂しそう。

でも…言うんだ、私。


「あのね、私……翼の事がずっと……好きだったの。だから……付き合ってください!!」


言えた。

言ったよ!私!!



「あなた……俺も好きだよ。」


「ほん…とに……!?」


「本当に。」


やったーー!!

幸せ!!


私、すごく幸せだよ!!



「よろしくな。」


「よろしくね!!」


そうして、私たちは付き合うことになった。



12月

クリスマス、デートをした。

幸せだった。


その帰り道までは……



「あなた…」


「なにー?」


「…」


「翼?」



どうしたんだろう。何?


「あなた…別れよう。」


え…


何?なに言ってんの?


ねえ、翼。冗談だよね?お願い。



「冗談?だよね…」


「本気。」


「どうして!?」


だ、だって、さっきだって!!

笑ってたじゃん!!


この前も、私といると楽しいって言ってくれたじゃん!!



好きって……言ってくれたじゃん………



「まあ、あなたが嫌いになったから?」


「だって、今日も…」



「マジでうぜーんだよ!一生俺の前に現れんな!」



どうして。


どうして?


翼はそんな人じゃないよ…



ねえ、翼。何があったの?



涙が溢れてくる。



翼…




その日から翼は変わっていった。


学校も休みがちになり、来ても保健室に行ってしまう。


それから中学を卒業、高校に入学し、1年がたった今、


私は東京へ引っ越した。



翼のことは全て忘れる。そう決めた。


凛はそれでいいの?って言ってくれたけど、私が決めたことだから。



本当は転校もしなくてよかった。


東京にお父さんだけが行くことだってできたけど………


私は


東京に行くことを選んだ。

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