第11話

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2022/09/16 09:11



あなた 「 ごめん 、私用事がっ 、」

   
   咄嗟に逃げ出した 。

   開けたらだめだ 。 
   この蓋を開けてしまってはいけない 。


   私の力で一部がクシャッとよれた資料 。

   逃げるように走って体育館に入り込む 。


   手前ではバスケ部が 、
   奥にバレー部がいる 。


   どうしたの 、と
   マネージャーの子に声をかけられ 、

   資料のことを話すと 、渡しとく 、と
   資料を預かってくれた 。



   ゆっくりと 、体育館から出る 。
   もう彼はいないだろうか 。


あなた 「 っ 、すいませ … 、」


高橋  「 雪村 ? 何してんの ? 」


   誰かにぶつかった 。
   懐かしい匂いに混じった汗の匂いがした 。


高橋 「 大丈夫か … 、って 、」


   なんでだろう 、悲しいわけじゃないのに 、
   彼に会った瞬間 、目が熱くなって 、
目頭に溜まった雫が今にも落ちようとする 。



高橋 「 ちょっと来い 。 

    すいません 、
    今日用事できたんでもう上がります 。
             お先失礼します 。」


   近くにいた高橋くんと
   同じジャージを着た人たちに
   そう伝えると

   私の肩を抱くようにして歩き始める 。
   私はただ彼に体を任せ 、ノロノロと歩いた 。



   周りの視線なんて 、
   全く気にならなかった 。





   ただ 、
   彼の温もりが落ち着いてたまらない 。  

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