オレたちは、〖未曾有殺毀族〗が現れた途端に出動できるように、堂々と開いている校門から飛び出して、近くの商店街までやってきた。
電線がちぎれ、電柱はバランスを崩し、少し高い建物へと倒れ、建物をくい込んでいる。
アルカは商店街の曲がり角を見つめ、未曾有殺毀族と判断した。
商店街の曲がり角で、獣型の未曾有殺毀族が次から次へと建物と人々を襲っている。そんな様子、誰がほっとくかっての。
オレとルイは、制服のポッケから1枚のカードを取り出した。
これが、戦慄アルカナ学園の全生徒が持つ、「アルカナ」のカード。
そしてオレとルイは、同時にこう言った。
そして、次に2人ともそのカードを破る。
よし、これで戦闘準備OK。
我が戦慄アルカナ学園の戦闘準備に欠かせないこのアルカナのカードは、破る事で戦闘機に変えられる、過去扇動者ならではの動作。
オレは大きな1本の斧で、ルイは邪神の力によって左手だけどす黒く変色し、ルイの顔よりも大きくなっている。
……あれ?アルカは戦闘機にならないのか?
すんごいキラキラした目でオレ達を見てるけど。
アルカは確か、この前にオレと同じで【小アルカナ】の称号でさえ無かったってのは聞いてるけど………あぁでも、アルカが持ってたのは、タロットカード1式だったしな。
ルイの指示にアルカは目配せ、大通りの端に1度隠れる。それと同時に、獣型の未曾有殺毀族はオレ達の存在に気づいたらしい。
『ガルルルルルルゥ………』
市民の人達はワーキャー言いながら逃げわ回っている。狼みたいな獣型の未曾有殺毀族は、音で物体の存在を判断するのが基本。俗に言う威嚇だ。
『ルガァァァ!!』
未曾有殺毀族は、更には市民の人達を襲おうとしている。
……が。
お?コレはあのパターンか。
オレはもうほとんど察しがついたぞ?
ルイはそう言って、どす黒い左手で地面を叩き割った。その途端、地中を巡ってルイが司っている邪神の鱗と牙が未曾有殺毀族に迫る。
『!?グオゥグルルル………』
壁自体は透けていて、壁の向こう側もよく見える。壁の向こう側には、既にアルカが市民を避難指示し、完全に一般人には巻き込まれない状況となった。
オレの背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
オレは慌てて振り返るが、そこには、既に変機していたアキラがいた。
そうは言っても相変わらずだ。
アキラはオレやルイと違って杖で戦い、怪我の治療を基本とする。戦闘時には人の心配をよくするアキラにとっては、回復役無しでは水臭いと思ったのだろうな。
それに、ただでさえ人数の少ない華道部なら、出る隙は十分あったんだと思う。
とは言っても、今や新学期早々開催されている部活大騒動の最中だけど。
マジか、マジだ、∑(Ò⌓ Ólll)マジか…。
ルイが奴の足止めしたから、反撃しようとしたのか。ヒー(✖ㅂ✖ ;)
おぉ、ルイの奴、その左手で突進を止める気か。
なら、オレは………
『ルガァァ!!』
その言と同時に未曾有殺毀族は突っ込んで来た。
そして、オレはある物を上に思い切っきり投げた。よし、これで……。
ルイはあのデッカイ左手をここまでかと思う程に面積を拡げ、握った時には未曾有殺毀族がルイの目の前にいた。
ルイは少し驚いた声を上げるが、身体は1mmたりとも動かなかった。そして、未曾有殺毀族の奴と即激突。その時の爆風でオレは吹っ飛びそうになった。
未曾有殺毀族はかなり怯んだ。
チャーンス到来ー♪
あ、アキラも気づいたかな?(笑)
その時、オレが思い切っきり投げた物が未曾有殺毀族にクリーンヒット
そうなった途端、ルイはその場から少し距離をとった。オレが投げた物は、オレがいつも戦う時に使う斧。刃の方が重く作られているから、上投げて、重力を使って落とし当てる。
ルイが徹底的に未曾有殺毀族の足止めをしてくれてたから、ここで一発、デカい仕込みをして仕留めるって戦法。と言うより、未曾有殺毀族はルイに相手してた訳で、オレには視線が合ってなかったのが好機に繋がっただけなんだけど。
オレの斧は未曾有殺毀族の胴体そのまま真っ二つに裂けて倒せたのは良いけど、(´・д・`)ウワァ...斧が返り血でぐしょぐしょになってる。
アルカの言う通り、一件落着って訳だし、オレもまだAl級学年の先輩たちの事はあまり知らないし、ちゃっちゃと帰って、部活大騒動の続きを楽しみしてますか!
現在午前11:27
学園に戻ってきたオレとルイ、アキラ、そしてアルカは、ちょうどお昼時だったから、いつもの津駆組で昼食中。
まぁそうか。未曾有殺毀族は未曾有殺毀族でも強さのレベルはあるか。オレ達の学園もそんな感じで分かれているし。
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【次回予告】
【第8話】部活大騒動本番!〜文化部編〜
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!