第5話

ラ イ バ ル 出 現 ? !
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2018/02/02 14:23

あれから先輩はうちには来ていない。


ちよこ 「いらっしゃいませー。おいしいお団子ありますよう~!!」


そしてお客さんも…来ない。


ちよこ 「暇だー……。」


ゆり子 「最近は、パンケーキが人気みたいよー。」


ちよこ 「パンケーキ?」


ゆり子 「近くに出来たのよ。若い子たちが列なしてたわよ!」


ちよこ 「私はお団子が好きだけどなー…。」


ゆり子 「さっすが!看板娘。ちよちゃんはいずれここ継ぐんだもんね!!」


ちよこ 「うん。」


ゆり子 「それでいい!ちよちゃんは!!」


ゆりちゃんはそう言いながらなんだか寂しそうな顔をした。


ゆり子 「でも、ちよちゃんもパンケーキ屋さん行ってみたらどう?」


ちよこ 「えっ?」


ゆり子 「ほら!敵を知る的な?」


ちよこ 「そんなこと言ってゆりちゃん行きたいんでしょ!」


ゆり子 「バレた?」


ちよこ 「わかるよ!」


ゆり子 「私はともかくちよちゃんはまだ若いんだから青春楽しみなさいよー!」


ちよこ 「何?急に」



季節は秋へと移り2学期がはじまっていた。


庵先輩には相変わらず近づくことが出来ずにいた。
なにせ、先輩には鉄壁のガードが付いているのだから。


いつも先輩の隣にいる人仲良さそうなんだよなー。


ちよこ 「一体誰なんだろう?」


偶然にも私の横を過ぎる女子生徒の会話が耳に入った。


女子生徒 「永澤先輩今日も庵先輩とべったりだったね。私たちの入る隙一歩も与えてくんない!」


永澤先輩?!

私は壁から壁へと女子生徒の会話を追っていた。


女子生徒 「やっぱりさー付き合ってるのかな?」


つっ


ちよこ 「っ…付き合ってる?」


壁に付けていた顔を起こし思わず体を半回転。


庵 「こんにちは。ちよこちゃん。」


ちよこ 「せんぱ…い?」


驚いた顔をしたまま固まっている私をみて噂の永澤先輩が言った。


茉莉花 「何この芋くさい子。」


芋…


庵 「駅前の団子屋さんの中村ちよこちゃんだよ。」


茉莉花 「何それ団子屋のちよこってウケるんだけど!」


取り巻き達も巻き込んで笑っている。


庵 「ちよこちゃん家のお団子おいしいんだよ!」


先輩!!


茉莉花 「通りで団子くさいと思ったわ。」


さっきは芋って言ったくせに…。


茉莉花 「行こ!ねー庵パンケーキ食べて帰ろ!!」


半ば強引に庵先輩の腕を引いて永澤先輩たちは去って行った。


茉莉花 「ねーいいでしょ?」


庵 「この前食べただろう?」


茉莉花 「いいじゃん!おいしいんだから♪」


またパンケーキか…。


―この“パンケーキ”は今後の物語を左右するキーワードになろうとは
                 この時はまだ欠片も思わなかったのである。――

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